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農業「基本法」の理念はどうあるべきか‥‥

2023/04/20
  • あんしんはしんどい日記
  • 食・農業・環境
農業「基本法」の理念はどうあるべきか‥‥

《 弊社HPが改訂作業中のため、現在、ブログの更新を控えております。
  合い間を縫って順次アップしてまいります。申し訳ありません。》

 

<前回からの続き>

3月29日に行われた
「食料・農業・農村基本法改正に向けた農水省との意見交換会」
報告の続き。

下山さんからの「必ず意見を言うように」との命令を
密かなミッションと受け止めて臨んだが、何のことはない、
19の団体から意見表明が文書で出されていて、
司会の徳江さんが「各団体からコメントを」と求めたところで、
自分が出る幕ではないと察した。
どなたも指定の「3分以内」で収まるようにも思えなかったし。

 

意見表明された団体は、以下の通り。
団体名を記すだけでも、会場の雰囲気が想像できるのではないだろうか。

日本有機農業研究会、日本の種子を守る会、食政策センター・ビジョン21、
全国有機農業推進協議会、東都生協、たねと食とひと@フォーラム、
持続可能な農業を創る会、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン、
ママ💛エンジェルス、ラムサール・ネットワーク日本、日本有機農産物協会、
農福連携自然栽培パーティ全国協議会、秀明自然農法ネットワーク、
日本自然保護協会、民間稲作研究所、サステナブル化粧品振興機構、
パルシステム生協、日本有機農業学会、北海道オーガニックビーフ振興協議会
(「大地を守る会」の名前がないのが寂しい。。。)

 

出された意見・提言をまとめると、
以下のようになるか。

・(基本法には)必要な項目が入っているのに、なぜ実現できないのか。
 反省がまったくない。発想自体を変える必要があるのではないか。
 基本理念の徹底的な再検討を。

・食料安全保障(食料主権)の確立を急げ。食料自給を基本の柱に。
 米や乳製品のミニマムアクセスを中止せよ(輸入は義務ではない)。

・生物多様性条約や気候変動枠組条約に沿う形に進めないといけない。
 森里川海の連環を捉え直す必要がある。

・有機農業を日本農業の中心に据えるべき。持続性があるのは有機農業だ。
 基本法と「みどり戦略」をちゃんとリンクさせること。

・生産性・効率性ともに、実は(大規模経営より)家族農業のほうが高い。
 アグロエコロジーの推進を。

・学校給食や医療機関などでの有機農産物の利活用(公共調達)を推進すること
 (「地産地消」重視の声も)。
 給食無償化が有機の拡大(=みどり戦略の目標実現)に大きな役割を果たす。
 福祉との連携も求める。

・畜産・酪農の現場で離農者や自殺者が相次いでいる。
 国は輸入飼料で成り立つ酪農や畜産を重視して、放牧酪農を軽視してきた。
 有機畜産・山地酪農・アニマルウェルフェアへの取り組みの強化を。
 畜産版「みどり戦略」を。

・国が農地を守る(=国土保全)、という意思を明確に示してほしい。
 水田を守り、水田(稲作)の有機化を目指すこと。

・今や新規就農者のほとんどは有機志向。
 有機の拡大こそ農業の持続的発展につながる。

・農薬・化学肥料依存では海外では売れない。
 農薬・化学肥料の規制強化を求める。

・食料安全保障、食料主権を守るために、種子を守る制度を。
 タネの自給力向上を(タネは9割以上が海外産と言われる)。

・基本法は「農政の憲法」である。教育・福祉・医療と同じく、
 すべての国民が取り組めるものにしてほしい
 (農業の担い手は全国民である)。

・イネは自家採種できる作物。
 (ゲノムでなく)すべての農家がタネを確保できる制度を求める。

・生態系サービスの減少こそ問題。農業のあり方を見直し、
 「生物多様性戦略」とセットで考えてほしい。

・検討の審議会に消費者が入ってない。

・食品の表示制度の見直しを。正しく選択できるジャパン・モデルを求める。

・食品全般にトレーサビリティの義務化を求める。

・ゲノム編集・遺伝子組み換えなど、遺伝子操作応用生物や放射線育種をやめろ。

・輸出の拡大より、地域自給(地産地消)を。

・エネルギーの地域自給(地域分散型の再生可能エネルギー利用)を進めること。

・熟議型民主主義に基づく討議と対話のプロセスを提案したい。

・食の景観(フードスケープ)の視点導入を。

・縦割り行政を打破して、食と農の政策を統合的・横断的に結びつけること。

・本当の国防は食料自給だ。

・・・とまあだいたいこんな感じで、熱い意見が次々とリレーされた。

はたして農水省の方々には、どの程度響いたのだろうか。
しつこすぎて耳が痛くなった?
あるいはゲップ(CO2)でも出たかしら。
もしかしたら、
「うっせぇなぁ。言いたいことは分かってるよ。だけどね・・・」か。

しかしおそらく、たとえ聞く耳は持っていたとしても、
基本方針というか、彼らの価値順位は変わらないように思う。
農業を「いのちを守る」営みとして考える人々に対して、
彼らはあくまでも「産業政策」として捉えようとする。
この隔たりは、どうも深い。

言えることは、今の流れのままで改正検討が進めば、
「みどり戦略」の目標達成はおぼつかない、ということだ。

 

じゃあ、どうすればいいんだろうか。
この日のように、言うべきは言って攻め続けながら、
日々の営みを粘り強く持続させていくこと、か。。。

40年前には歯牙にもかけられなかった有機農業が、
いまや国政の中心議題になってきたのだ。
時代は明らかに変わってきている、そう信じていい。
問題は、間に合うかどうかだけど。

 

で最後に、僕が指摘したい点を一つだけ挙げて終わりにしたい。
今回の議論でまったく話題にされなかったことがある。
「加工」について、だ。

(以下、さらに続く)

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