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会津のトランプ? いや、バイデンでしょ。

2022/06/28
  • 脱原発・自然エネルギー
会津のトランプ? いや、バイデンでしょ。

「クラリズム」では、
当主(大和川酒造店会長)・佐藤彌右衛門(やえもん)さんには
会えなかった。

ところがイベント終了後、携帯にかかってきて、
路地裏の寿司屋に呼び出された。

どうやらイベントは跡継ぎに任せて、別な客人たちと飲んでいたようだ。
名士はいろんな接待(したり受けたり)で、ご多忙なんだな。
まあいいけど、体だけは気をつけてほしい。
 - と言っても、今の総理と違って、聞く耳は持たない方だけど。

いや、ちょっと違うな。 聞く耳は持っているけど、
こうだ! と思ったら走り出して、誰も止められなくなる。
走り出したら、耳は人の言葉を聞くというよりも、
走る方向を見定めるための「アンテナ」となる。
聞くのは、動くため 、なのだ。

 

で、その店でしばし飲んでいるうちに、
「明日、付き合えるか」と誘われた。
案内したいところがある、と。

実は僕も、見たいと思っていたところがあった。
そしてその場所は、同じだった。

 

オリジナル酒「種蒔人」(当時は「夢醸」)を開発した
翌年(1995年)だったか、やっぱり「ちょっと案内したい」と
連れていかれた場所。

そこは喜多方市内の西方、雄国(おぐに)という地区の山間地に広がる一角。
戦後、国が国費をかけてパイロット事業として開拓した後、
結局、失敗して放置された土地である。

彌右衛門さんはそこを購入しては、
ソバを蒔いたりしながら、今もせっせと開墾し直している。
「地元を荒らして捨てていった奴ら(国)」に対する反骨は、
受け継がれた “ 会津の魂 ” なのかもしれない。

 

会津盆地を見下ろす、絶景の場所だ。
右手前方には、飯豊山系が一望できる。
登ったなぁ、何度か(3回だけど)。

 

2回目にこの地に来た時(何年後か忘れた)、
「大地の人たちでさ、ここを研修とか体験とかで使ってみたらどうか」
「『大地を守る会ファーム』ってのはどうだい」
と水を向けられたが、僕は社内で提案する勇気がなかった。

研修とか体験で通うには、ちょっと遠すぎる。
荒らしてしまっては申し訳ないし、信用も失う。
そうさせないためには、自分に覚悟のようなものが必要だったから。

 

そこに、あの3.11があって、
彌右衛門さんはイノシシか馬車馬のごとく走り出して、
この地を起点として「会津電力株式会社」を立ち上げた。
「東京電力から福島を奪還する!」とか、
けっこう過激なセリフを吐きながら。。。

 

ただ当時、僕は「放射能対策特命担当」という役名を与えられ、
産地をどう支援するか(測定やら土壌対策やら販売方針やら…)
に目一杯になって、自然エネルギーへの取り組みまでやり切れなかった。
全国ご当地エネルギー協会」立ち上げにコミットするのが
精いっぱいだった。
今でも悔しさが残っている。

 

彌右衛門さんが「エネルギー革命による地域の自立」を掲げて
立ち上げた「会津電力株式会社」は、
今では4つの子会社を擁する「会津電力グループ」として成長した。
森林再生事業やワイン醸造まで手掛けている。

電力事業では、会津から浜通り(南相馬市)まで、
大小88ヵ所の小規模分散型での太陽光発電と
1つの小水力発電の発電所を設け、その発電量は総計6,107KW。
一般家庭1,830世帯ぶんの電力を賄うまでになっている。

その出発点となったのがここ、雄国太陽光発電所である。
パネル枚数3,740枚。
年間予想発電量963,600KWh(一般家庭300世帯分)。

 

見学者用にゲストハウスまで完成していた。

 

70歳を超えても彌右衛門さんの夢は、まだまだ広がっていく。

案内してくれた車に同乗すれば、
チェーンソーや草刈り機や様々な道具が積まれていて、
雑木(ざつぼく)を伐っては「ここをこうして・・・」と
雄国の再建構想は際限がない。
愛してやまない会津盆地を眼下に眺めながら、
嬉しそうに夢を語り続けるのだった。。。

走り出したら誰も止められない男。
「オレは会津のトランプと呼ばれてるよ」と
苦笑する佐藤彌右衛門氏。
つい、「いや、バイデン(売電)でしょう」と返してしまった。

 

たまに突然、電話がかかってきたりする。
酔っぱらって、「いつまで函南に引っ込んでるんだ!」とか、
けしかけてくる厄介なおじさん。

同行していた私の妻に向かって堂々と
「こいつは俺の愛人なんで」とか言って、二人だけの写真をねだる。
僕は「ジェンダー平等~」とかテキトーに応えて、写真に収まる。

愛人何号なのかは、プライドもあって聞けなかった。

 

豊穣の会津盆地を眺めながら、
「このままでは終われない」というエネルギーをもらって、
僕にとっての『クラリズム』は、
自分への充電イベントとして終了した。

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