文太さんへ。

公開日: : 最終更新日:2015/01/25 雑記その他

仮住まいの家を出ると、
天気の良い日には富士山の姿が
眼前に飛び込んでくる。

20141203富士➀

雪をかぶった富士は夏よりもずっと大きく、
迫ってくる感じがする。
光を反射する白のせいか。
夏はなんぼ撮っても、イマイチだった。
やっぱり富士には雪だね。

20141203富士②

しかし心境は、この風景のように爽やかではない。
健さんに続いて、文太さんの訃報が伝えられた。
今度は選挙の公示ニュースが飛び交う日に。
なんて季節だ。

実は僕は、文さんの映画はほとんど観ていない。
むしろ近年の銀幕以外の活動で、
この人のスゴさを感じるようになった。
ふるさと回帰運動の顧問として、
あるいは自ら有機農業に挑戦していく姿によって。

数年前、山梨の農場でニンニクがたくさん獲れて、
大地で売ってくれないかという相談が、
藤田社長経由で持ち込まれたことがあった。
あの時、ニンニクはたしか充分足りていて、
長谷川取締役を通じて断ってもらったように覚えている。
記憶が不確かなのは、当時の僕にとって、
菅原文太の趣味に付き合う気はない、ってなもんで・・
名前がどんなにメジャーであろうが、大事なのは
目の前の生産者だったからね。
今なら、「相談してよフルーツバスケットに、んもう~」
って感じだけど。

しかし、文太さんは本気だったのだ。
真剣に有機農業の普及に、いや農業そのものと
地域の再興に取り組まれた。
3.11後は芸能界を引退して、震災復興に心を砕き、
原発再稼働に対しても明確に反対の意思表示をした。

先だっての沖縄知事選の応援演説で発した言葉を、
あとで知人から教えてもらった。

「沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も風も、
国家のものではない。そこに住んでいる人たちのものです。
勝手に他国に売り飛ばさないでくれ!」

骨太な昭和の役者が、このタイミングでまた一人、
いなくなってしまった。 実に寂しい。

民主主義とは、非暴力でたたかいながら育てるものである。
だからこそ、みんながコミット(関与)することが
大切なのだ。立場に関係なく尊重しあいながら。

学生時代に朝日新聞に投稿したことがある。
国会が政治スキャンダルにまみれていた時、
選挙に際しても「他に選択肢がない」といった声が、
あの頃もあった。まるで主流の声として。
僕は、ダメなときは変える、それによって民主主義は育つのだ、
と主張した。
けっこう一生懸命書いたな。
嬉しくも掲載され、後日、
新聞社から送られてきた「粗品」はバスタオルだった。
貧乏学生にとっては図書券でよかったんだけど。
しかし、、あの頃から何も変わってない気がする。
僕自身の力のなさも含めて。

チェンジ!と叫んで、うまくいかなければ再度チェンジ!
そうやって民度は訓練されるし、
危険な暴走も食い止められる。
それじゃ経済成長が鈍化するって?
民間をバカにするなと言いたい。
大事なのは幻想の貨幣ではなくて、実態だろう。
僕はむしろ、混乱は活性化を生む、と考える。

健さんと文太さん。
路線は違えど骨太だった昭和のスターが二人、
同時に逝ったこの季節。
今回の選挙は、今までになく背筋を伸ばして
投票所に行こうと思う。

文太さんへ-
あの時、ニンニクを引き取れなくてすみませんでした。

今日も合掌。

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