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「水」が問う、国の未来

2019/09/16
  • 食・農業・環境
「水」が問う、国の未来

9月6日付「どうする?日本の水道」の続きを-

 

20世紀は石油を奪い合う戦争だった。
21世紀は水を奪い合う戦争になるだろう。

1995年、当時の世界銀行副総裁が発した有名な言葉だ。

水道料金回収率99.9%(取りっパグレがない)。
総資産価値30兆円とも言われる日本の公共資産が、
「民」に売られようとしている。
しかも狙っているのは外資であり、
門戸を開放しようとしているのが今の政府である。

 

それでいいのか・・・
8月10日(土)、東京・田町で開かれた、
『どうする? 日本の水道』完成記念上映会でのシンポジウムの様子。

この国には、
「民営化によって水道料金が安くなる」
と信じて疑わない政治家がいる。アホかと思う。

民間企業の活力によって価格が下がったり、
サービスが向上したりするのは、そこに「競争」があるからだ。
しかし水道管網で地域がつながっている水道事業は、
複数の企業に分割して管理させることはできない。
つまり買った企業の「独占」事業になる。

現に、民営化した国・地域はすべて水道料金は上がっている。
そこでは今、再公営化に向けた波が広がっている。
これが世界中の動きだということだ。

オランダ・アムステルダムを拠点に活動するNGO団体
「トランスナショナル研究所」の岸本聡子さんによれば、
フランス・パリでは、再公営化にとどまらず、
住民参加で税金の使い方まで決められる運営方式が
採られるようになっているとのことだ。
イギリスでは “We’re taking back our water”(水を取り戻す)と、
「21世紀のインソーシング(内部活用化)計画」が
労働党によって唱えられている。
日本が進めようとしている「コンセッション方式」という名の
アウトソーシング化は、
「周回遅れ」ではすまない禍根の業ではないだろうか。
  ※「コンセッション方式」についてはPARC・HPの解説をご参照ください。

 

一般財団法人全水道会館水情報センター・事務局長の
辻谷貴文さん(上の写真左から2人目)は、
水道職員の立場からこんなふうに語った。

日本の水道は漏水率5%という、驚異的な技術力を誇っている。
アップダウンが多く使用量も多い東京では何と3%である。
しかし水道職員は「縁の下で支える」をポリシーとしてやってきた。
まるで「見られない努力」が美学かのように。
職員はほぼ全員、災害現場にも行っている。
大雪の中で必死で漏水の修繕などやっているんです。

どうやら僕たちは日本水道のレガシーに甘えてきたようだ。
それが国民の無関心を招いてきたのかもしれない。
これからは「蛇口の向こう」からしっかり発信して、
広く問題を共有する活動を強化していきたい。
どうか水(道)を自分ごとにしてほしい。

水ジャーナリストの橋本淳司さんも訴える。

無関心が政治家や資本家の暴走を招く。
民営化やコンセッション議論の前に、
水道経営自体が危うくなっている現実を知ろう。
水の安定確保は生態系サービスの上に立っていることも。

計画策定に携わる人には、将来世代の観点を持たせたい。
30年後には10人に4人が(安全な)水を飲めなくなる、
という予測がある。
その30年後のための「2050年プロジェクト」をつくろう。
そこに住民が関わることが鍵となる。

コンセッション方式では、所有権は自治体にあるので、
自然災害等による事故や汚染の責任は自治体が負うことになる。
企業は逃げ切れる。

一昨年、日本初のコンセッション方式での民営化が誕生した。
静岡県浜松市が下水道事業の運営権を仏・ヴェオリア社に売却したのだ。
そして下水道料金は上がったと聞かされている。
いま、上水道については反対の声によって「保留」となっている。
大阪市では市長が発案したが議会で廃案に追い込まれた。
これからこんな動きが全国で起きてくるんだろう。

公園の水だって飲める国、それを当たり前のように
享受してきたことによって僕らは「無関心」になり、
ここにきて最強のインフラが危機に瀕していることに気づいた。

遅いか。。。
いや、たとえ「遅い!」と言われても、
ここで事実を直視して進む道を考えないと、未来から叱られる。

 

水資源大国・ニッポンをどうすればいいのか。。。
コトは水道管だけの問題ではない。
次は、上流に上って考えてみたい。

場所は伊豆・満城の滝。

滝の上にある森で、山仕事を体験しながら思ったことを、
次回に-
それは今も復旧ままならぬ房総半島にも通じる話かもしれない。

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