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一次産業を守る、こそ国土保全である

2018/07/15
  • 生産者・産地情報
  • 食・農業・環境
一次産業を守る、こそ国土保全である

さて、6月24日(日)の話に戻る。

僕が大地を守る会の事務局長を務めた時代(1987-1998)
に、他団体と一緒にかなり過激な活動を展開した
「提携米研究会」(当時の名称は
『日本の水田を守ろう!提携米アクションネットワーク』と言った)
の面々、総勢15名の方々が函南にやって来てくれた。

ここで総会を開くとともに、
地元・畑毛(はたけ)温泉に一泊して夜は懇親会という、
まあ同窓会のような、楽しい一日を企画してくれたのだ。
僕は現地のホスト役として宿の手配など、
張り切ってやらせていただいた次第。

総会では、一年間の活動報告とともに、
コメをめぐる様々な情勢について、意見交換が行われた。

1986年秋に米国がコメの市場開放を要求してきて
国内が騒然となった時、
生産者と消費者の提携によって日本の水田を守ろうと、
始まったのが「提携米運動」だった。
いわばコメの産直である。

当時はまだ国がコメの流通を統制する「食糧管理法」
という法律と制度(食管制度)が存在していて、
すでに骨抜き的状態であったとはいえ、法は法であり、
我々の運動はかなり国を刺激するものだった。
いや国だけでなく農業団体(JAなど)も敵に回したし、
主だった消費者団体も腰が引けるようなテーマだった。
僕はその事務局を担当し、藤田社長からは
「何かあったら、お前がお縄を頂戴するのだぞ」
と申しつけられた。
だいたいこの会社は、
初代(藤本敏夫)も二代目(藤田和芳)も
権力を怖れない活動経験をしてきているから、
やるなら敢然と、堂々とやれ、てなもんで。

その活動の中で、米の自由化に反対しながら、
いくつかの生産団体と消費者団体を結びつけ、
また減反政策に反対する活動を展開した。
1993年の大冷害とそれに伴う米不足、そして
コメの緊急輸入による混乱(平成の米パニックと呼ばれた)
があって、僕らは意を決して
「減反政策は憲法違反である」と、
国を相手に裁判に打って出た。

裁判闘争の中で僕は、減反政策が
いかに国の環境と国土保全機能を衰退させているかを
訴える意見陳述を行なった。
興奮して声の震えが止まらなかったのを覚えている。
若かったね。

幸か不幸かお縄を頂戴することもなく、
国にシカトされたような格好で生き延びたけど、
提携米運動は、間違いなく、
僕のその後の生き方を決定づけたものだった。

そんな活動を共にした人たちが、
函南まで訪ねて来てくれた。嬉しくない筈がない。

提携米の呼びかけ人の一人、
秋田県大潟村の生産者、黒瀬正さん。
すでにコメ作りは息子の友基くんに託しているが、
情勢分析は怠らない。

夜はぬるい温泉に浸かり、
一次会そして二次会と、楽しく懇談した。

翌日はオラッチェに招待。
地ビール工房の前で説明を受けるご一行。

日本初の有機認定ビールである「風の谷のビール」を
レストランで堪能していただき、解散となる。
懐かしい面々に会えて、リフレッシュした気分になる。
「提携米研究会」事務局長の牧下圭貴さん、
ご配慮有り難うございました。感謝します。

 

さて、これで終わったかと思ったら、そうはいかない。
黒瀬さんと、奈良の「ネットワーク草の根」代表(の夫)の
清水淳一さんのお二人が、
「折角ここまで来たんやったら、伊豆を巡ってみよか」
となって、伊豆周遊の旅のお供をしたのだった。
よそ者のくせに運転手兼ガイド役まで仰せつかって。
さあ、これがあの浄蓮の滝ですと
「天城越え」など歌ったりしながら・・・

その滝をバックに二人のツーショットを。

左が黒瀬正さん。
減反政策とたたかい続けた戦中生まれ。
右が清水淳一さん。
団塊の先頭世代、筋金入りの反体制。
お二人とも、すんませんが、「逃げ切り」はないで。
最後まで「たたかい人生」でお願いします。

 

滝めぐりをしながら、この列島を思う。
なんと水の豊かなことか。

その力は、時に人の命を奪うけど、
この命の源を使いこなして生きてきたのが、
この列島の人々の歴史である。
しかも、エネルギーだって自給できるのに。。。
今の経済は、本当の「経済」ではないと思う。
拝金主義、あるいはエゴだ。

田んぼという装置は、たんなるコメの生産手段ではない。
山もただ木材を供給しているだけではない。
当座の収支で永続的資源を喪失させていく
国家政策は、愚かで恥ずかしい。

先輩闘士にお供したことで、つい熱くなったか。
あるいは裁判所で沸騰してしまった自分を思い出したか。。。
でもやっぱ、日本は水の文化国家だと思うのである。

絶えることなく流れる水は、山の保水力のお陰である。
その山も田んぼもないがしろにして、
これからいったい、国土保全と防災に
どれだけの税金をかけざるを得なくなってしまったか。
まさに「有り難い」(稀有な)宝物から、
いま、報復を受けているような気がしてならない。

改めて声を大にして言いたい。
一次産業をしっかり守ること、
それこそが国土保全の根幹である。

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