地域エネルギーが世界を変えていく(飯田哲也さん)

公開日: : 最終更新日:2015/02/03 脱原発・自然エネルギー

1月19日、静岡市で開催された温暖化防止研修会。
藻谷浩介さんの挑発的講演に続いては、
藻谷さんの小・中・高校の先輩であるという
飯田哲也さんによる「広がるご当地エネルギー」のお話。
「今日は、ご当地エネルギーの世界史的意義 を整理してみたい」
と始まった。

20150130飯田哲也➀

この10年で、(日本を除く)世界は大きく変わった。
世界全体では年を追って、自然エネルギーが驚異的に増加している。
風力では3500万kW、原発35基分の電力を創出し、
太陽光では3700万kW、同37期分の電力を供給するまでになり、
昨年末の速報では4000万kWを超えた。
(水力はダム建設が限界になってきて、ほとんど増えていない。)

20150130飯田哲也②

ドイツでは昨年末、自然エネルギーの電力シェアが
27.3%まで伸びたと発表した。2000年から7倍の伸び率である。
太陽光は昼間の電力を供給するので、
昼間の電気料金が急激に下がり始め、
高い料金で電力を供給していた大手の古い電力会社の
売上と利益が急激に下がってしまった。
そして何と12月5日、
ドイツ最大電力会社エーオン社(E.ON、東電よりずっと巨大な電力会社)は、
会社を「過去社」と「未来社」に分割し、
過去社(原子力と火力発電部門)を売却すると発表した。

デンマークでは、10数基の化石燃料発電体制から、
数千基の風力とコジェネ(電気と熱を両方供給するシステム)
によるエネルギー供給体制に転換されてきている。
大規模集中型から小規模分散型への大変換が進んでいて、
そこでは7割の発電所が地域の人々によるものである。
地域がエネルギーをつくり始めたのだ。
さらにインターネットの普及により、
これまでの政府と大手メディアによる情報支配に対して、
すべての人から情報発信が可能になったことも大きい。

20150130飯田哲也③

デンマークのサムソ島では、
95年から自然エネルギーへの挑戦が始まり、
この20年間で、エネルギー自給率は150%にまで成長した。
ドイツのシェーナウという人口2500人の村では、
90年に電力会社を興し、今では30万人の顧客を有している。
それぞれの地域に人々の物語がある。

さて翻って静岡県を見てみるならば、
人口370万人、140万世帯の県で、
2100億円のエネルギー代が外国に流出していっている。
その額は、けっこう豊かな静岡県予算の半分に相当する。

20150130飯田哲也④

しかしたとえば、
自然エネルギーを東京や名古屋の企業に作らせては、
儲けが県外に逃げていくことに変わりはない。
地域の人々が主体となってエネルギー事業を起こし、
運営することで、地域でお金が回り、豊かさも違ってくる。
これを私たちは「地産地所有の原則」と呼んでいる。

「全国ご当地エネルギー協会」が昨年5月に結成されてより、
ネットワークが全国的に広がってきた。
多くは2011年の3.11後に生まれてきたものだ。
どこもみんな、いろんなドラマを積み重ねながら事業を築いてきた。
地道に議論を重ね仲間を増やし、体制を創り上げてきている。
それを行政や企業や金融機関があと押しするという、
いい形が各地に生まれてきている。
静岡でも2012年12月、
しずおか未来エネルギー株式会社」が誕生し、
着実に事業を発展させてきている。

私たちが掲げる「コミュニティパワー3原則」。

20150130飯田哲也⑤

地域の人たちがエネルギー設備を持つ。
地域の人たちで意思決定する。
生み出されてくる便益や豊かさを共有する。
それによって地域に根差したエネルギーがしっかりと育っていく。

これを「ご当地~」発起人の一人、伊藤宏一千葉商科大学大学院教授は、
宮沢賢治の “ インドラの網 ” になぞらえてくれた。

20150130飯田哲也⑥

一つ一つの宝石(生命)が相互を映し出しながら輝き、
網の目のようにつながっている・・・
(インドラは古代インドの神、日本に渡来して帝釈天になった。)

このネットワークがさらに輝きを増し、
全国津々浦々から新たな宝石が立ち現われてくることを
期待してやまない。

 

講演2題、レポート以上。
人類史上第4の革命は、必然として進んでいくだろう。
しかしそのプロセスには、様々なハードルが立ちはだかり、
消耗するような人の摩擦も発生するだろう。
かといって、上からの技術転換ではダメなのだ。
これは民主主義を育てるたたかいでもある。

講演に続いては、
佐藤彌右衛門さん(会津電力代表、大和川酒造店)、
鈴木亨さん(北海道グリーンファンド)、井筒耕平さん(村楽エナジー)、
服部乃利子さん(しずおか未来エネルギー)による
パネルディスカッションがあり、それぞれから
自然エネルギーにかける思いや経過、課題などが語られた。

ご当地エネルギー協会の幹事会は、省略。
とにかく今後の活動計画の盛り沢山なこと。
事務局や環境エネルギー政策研究所のスタッフたちの
能力の高さに感心するのみ。

終了後は街に繰り出し、静岡の地酒で語り合う。
函南で、よそ者の僕にできることは何か・・・
各地で上がる狼煙(のろし)に煽られっぱなしの夜となった。

Comment

  1. […] 2015年7月8日 この10年で、(日本を除く)世界は大きく変わった。 大規模集中型から小規模分散型への大変換が進んでいて、 そこでは7割の発電所が地域の人々によるものである。 しかしたとえば、 自然エネルギーを東京や名古屋の企業に作らせては、 儲けが県外に逃げていくことに変わりはない。 1月19日、静岡市で開催された温暖化防止研修会。 [引用元] 地域エネルギーが世界を変えていく(飯田哲也さん) […]

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