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1月の読書から

2023/02/02
  • 雑記その他
1月の読書から

小学校中学年の頃からだろうか、
ずっと続く習慣が一つある。「読書」というやつ。

若い頃から何をやっても続かない「飽きっぽい性格」があって、
英会話やら何やら、数種類の通信講座テキストが、
捨てられずに今も押入れの段ボール箱の中に眠っている。

小学生の時、頭が良くなると言われてソロバン塾に通っても3級どまり。
中学でトライした剣道部は半年で1級まで。
高校では柔道部の練習に参加して、1級試験は通ったが正式入部は辞めた。
いずれも練習がつらい以上に、なぜか突然「やる気が失せる」のである。

今からみればそれは、何のお稽古事にもある「最初の壁」を
越えられなかった、ただの「根性なし」だったと総括できるのだけれど、
あれやこれや手を出しては続かないのを、ある時、
美人の占い師からそういう「星に生まれた」のだと告げられてより、
己れを弁護するように「生来の性癖」として、信じてもいない神様か
親のせいにしてきた。

そんな怠け者でも、読書だけはずっと続いた。
教科書は忘れても、「読む本」はいつも鞄の中にあった。
まあ読書ってのは好きなものを選んで、色んな世界を空想・追体験できる、
いわば「興味本位」が許される独りの世界だから、でもあるけど。

読むスピードは速くないし、今となっては、読むのは
お昼時と寝る前と電車の中とか、コマ切れなので、
たいした読書量ではない。 夜は酒も入るし・・・
なので「読書家」とはさすがに気取れず、
「読書人という人種」の端くれ、くらいに位置づけてもらえると落ち着くか。

それでも続けていれば、年間60~70冊くらいにはなる。
ときに500頁を超えるような大著だと1ヵ月以上かかる時もあるけど、
これだけはどんなに難しくても、
いったん読み始めたら、読み切らないと気が済まない。
そして読み切る、頭に入ったかどうかは別として。
こういうのを、「本の虫」と言うそうである。

 

さて、そんな一匹の「ホンノムシモドキ」(昆虫図鑑には載っていません)が、
今月の読書から「抜いた」言葉を、時事ネタと絡めて
ご紹介させていただきたい。
(たまにはこんな試みも、お許しいただけると嬉しいです。)

 

<その1> “ 先制的自衛 ”  なる概念について
自衛力強化のための「敵基地攻撃力」(という名の “ 先制攻撃力 ” ) 論の登場。
実は20年以上前にアメリカが編み出していた。

   ~  この頃のアメリカはもうほとんど狂ってるとしかいいようがない。
   先制的自衛と言いだしたでしょう。
   つまり自分を守るために先制して相手を攻めるというのは、
   これ自衛でもなんでもないですよね。(作家・井上ひさしさんの言葉)

『東北ルネサンス』(赤坂憲雄編、小学館文庫/2007年8月刊)所収の、
  井上ひさしさんと民俗学者・赤坂憲雄さんの対談から。
  対談は2002年9月に実施されたもの。

そうだった。
テロリストから自国を “ 守る ” ために、アメリカはイラクを攻めたんだった。
忘れないようにしよう。

編者の赤坂憲雄さんは『東北学』の提唱者で、
2013年7月の「会津自然エネルギー機構シンポジウム」で出会って以来、
ファンになって、何冊か読ませてもらっていた。
今回は読み逃していた上記の一冊を、正月休み用にチョイスした。

また赤坂憲雄という人は、漫画『風の谷のナウシカ』の詳細な分析で
本を書いているほどの、ディープな「ナウシカ」おタクでもある。
彼の「ナウシカ」論についても紹介したい欲求にかられるが、
それはいずれまた、ということで。

 

<その2> 宇宙ビジネス時代の到来 -民間ロケットが月に!
それは「宇宙戦争」時代の幕開けでもあるらしい・・・
ご迷惑を宇宙にまで広げるのか、人類ってやつは。

   「宇宙は海、月は釣魚島(尖閣諸島)、火星は黄岩島(スカボロー礁)だ。
   行く能力を持ちながら今そこに行かないなら、子孫から非難される~
   他の者たちがそこに行けば、彼らがそこを占拠し
   我々は行きたくても行けなくなる。
   そのことだけでも(行くべき)充分な理由になる」(中国の月探査計画の計画者)

『新しい国境、新しい地政学』
  (クラウス・ドッズ著、町田敦夫訳、東洋経済新報社/2021年12月刊)から。

“ 21世紀のフロンティア ” は、どうやらユートピアではないようだ。
宇宙はますます混雑し、スペースデブリ(宇宙ゴミ)がまき散らされ、
奪い合いとともに国境線が引かれ、紛争の火種となる可能性がある
 -と著者は予言する。

庶民が宇宙旅行を楽しめるようになった頃には、
それは軍事競争の付録のようなものとして用意され、
旅行者は厳しい国境警備兵に迎えられるってことになる・・のか?
まあ、僕には関係ない時代のお話しであるが、
すでに宇宙利用の枠組みについての国際的な議論が始まっていることは、
民間月ロケット発射に夢を見るより前に、気をつけておきたいことだとは思う。

本書では他にも、
気候変動がすでに人類の発明品である「境界線」を揺るがしている事、
河川や海(海底を含む)という共有地もまた争奪戦になっている事、
ウィルス・パンデミックが教える「国境という病い」についてなど
示唆を与え、最後にこう語る。

   国境が人々にもっと開かれ、大地や空気、水の根源的な変化に
   もっと敏感に反応したなら、世界はもっとずっと暮らしやすくなる ~

 

<その3> 原発の新規建設に、運転延長も認める方針に。
廃炉原発の「建て替え」なる発想まで飛び出した。
福島第一原発の汚染水(処理水)の海洋放出も、春か夏には「やる」と決めた。

   フクシマはより大きなマシーンの一部なのだ ~
   進歩の行き着く先は野蛮なのか ~
   内容のない丁寧な説明を続けて時間を費やして
   状況と文脈の変化を待つことには戦略的な意義があるのだろう ~
   海水中にではなく、エコシステムの中に放射性物質を大量に排出していることが
   問題にされねばならない ~
   重大事故は、「安定した」廃炉・廃止ビジネスを産むのだから、
   資本主義の観点から見れば問題ない。資本主義のこの可能性は、
   その自己破壊的な性質を示している ~
   放射能を引き寄せる放射能汚染 ~

『原子力の人類学』(内山田康著、青土社/2019年9月刊)から。

 

ちなみに、原発を再稼働させるためには、避難計画を策定し、
審査を通らなければならないが、
日野行介著『原発再稼働』(集英社新書/2022年8月刊)
によれば、避難所での収容基準は、一人2平方メートル!
で計算されているらしい。

原発事故で避難した人々に保証されるスペースは、一人あたり畳一畳!
ほどなのである。
しかも、もっと広く設定した受け入れ自治体の計画に対しては、
2平方メートルに修正して収容人員を水増しされたという。
そうしないと避難対象域内の住民が収まらないのだ。

「新規制基準や安全基準とは、原発を動かさないことではなく、
再び動かすことが前提なのだ」と、
元新聞記者の著者・日野行介さんは憤っている。

やっぱ、原発のそばでは暮らしたくない。
原発で作られた電気には頼りたくない、と思う。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)なる「言葉遊び」が
虚しくなる話だ。

 

しかし、いやあ、こんな本ばかり読んでいたら、吠えたくもなるか。。。

じつはビジネス書の類も読んでたりするけど、
それは内緒にしておきたい。

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