吉田太郎が語る「コロナ後の食」(後編)

公開日: : 最終更新日:2020/08/12 新型コロナウィルス, 食・農業・環境

「食の未来をつくる生産者の会」主催による
吉田太郎さんのオンライン講座
「コロナ以降の “食と農” 欧州の変化と日本の対応」の続き。

・1940年代以降、人間に出現した伝染病の70%以上が、
 野生や家畜動物由来である。
 鳥インフルエンザH5N1は工場型畜産で誕生した。
 1918年のスペイン風邪は米国の養豚場から。
 それらは密飼い・遺伝的均一性・太らせる抗生物質
 (そう、抗生物質は家畜を太らせる)という特徴を持っている。
・労働者も消耗品。米国では食肉加工場がクラスター化している。
 グローバルフードシステムの脆弱性を象徴している。
 コロナは人権のあり方、移民のあり方(低賃金と格差問題)、
 食のあり方を問うている。小規模家族農業を育成しよう。
・欧州グリーンディール(※)の柱は、生物多様性戦略。
 10年で30億本の植林を掲げ、2030年までに農地の25%を
 有機農業に変える。化学合成農薬と抗生物質を50%減少、
 化学肥料も20%減を目指す。
 アグロエコロジーで欧州は自給できると考えている。

 ※ 欧州グリーンディール:欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会が
   2019年12月に発表した気候変動対策。2050年までに
   温室効果ガス排出を実質ゼロにする他、食品システムの変革も
   目標に掲げられている。

・2020年3月、63ヵ国3,600人以上の科学者が緊急提言をまとめた。
 工業農業モデルは生物多様性の損失、大気や水の汚染、土壌の劣化を招く。
 SDGs等、他の計画との整合性を図り、アグロエコロジーへの転換と
 小規模家族農家を支援せよ、と訴えている。
・「コロナ以前」とは、天然資源の枯渇、危険な廃棄物や汚染物質の増大、
 炭素排出経済の世界。それに戻りたいか。
 新型コロナは、新しい時代・生き方を考えさせる助っ人である。
・欧州では、消費者の食への意識が高まっている。
 大きな動機は「肥満」だが、添加物(特に果糖ブドウ糖液糖)が
 問題視されている。
・欧州各地で、行政・市民の支援によって、オーガニック食材による
 食教育が進められている。
 食べ物の改善で “荒れる子供” や暴力犯罪が減少している。
 低所得階層が反社会的行動に陥りがちになると言われるが、
 自己責任ではなく、食べ物が原因なのだ。
・コロナによって世界各国が食糧の輸出規制を始めた。
 自給率向上という命題が日本に課せられている。

・これから私たちがすべきこと - オーガニック食品を購入することが
 「市民の意思表示」になる。
 もうひとつのキーワードが、子供たちの「給食」。
 日本でも「有機給食の日」をつくるような運動が必要だ。

 

コロナをきっかけにして、食から生活を見直すことが
明るい未来につながる。
また社会を変えていくには「寛容性」が大事だと、
吉田さんは最後に付け加えた。

オンラインによる質疑では一つ質問させてもらったのだが、
逆に吉田さんから
「戎谷さんが以前主張されていた “ファイトケミカル” は、
 今も使えるのではないか」と言われ、ハッとさせられた。

あれは放射能対策として「健全な食生活こそ大事」と訴えたくて、
持ち出したテーマだった。
麻布医院の高橋弘医師にお願いして開いた講座から始まって、
商品化まで試みたが、フルーツバスケットに移籍した後、
しばらくして途絶えてしまった。。。
この意味と価値を充分に伝えきれずに去ったことを
悔やんだものだった。

たしかに、今こそ伝えたい “素材” ではある。
吉田さんが覚えていてくれたことに感激しつつ、
するどい牽制球で刺されたランナーの心境に陥った。
忘れていたわけではないんだけど・・・
吉田さん、有り難うございました。感謝!です。

コロナは、私たちに何を示唆しているか。
「食」(何をどう食べるのか)の大切さ、環境とのかかわり、
世界とのつながり方・・・

「アグロエコロジーで欧州は自給できると考えている」

日本はいったい何周遅れてしまったんだろう、と思う。
それでも各地で “希望の実践” は行われている。
つなげ、伝え、種を伝播させていくこと。
諦めないこと、未来世代から罵られないように。

しかし、それにしても-
「有機農業」は「アグロエコロジー」に内包されてしまったのか。
日本の「有機農業運動」は、アグロエコロジーの思想を
ずっと内に抱えてきたはずではなかったのか。
単純に言葉を乗り換えてしまってよいのか・・
僕の中で疑問は残り続けている。

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