「食」を支える人が報われる社会を

公開日: : 最終更新日:2020/08/13 新型コロナウィルス, 日々日々フルーツバスケット, 生産者・産地情報

炎暑が続く夏!となれば、
僕の心根はつい 故郷 に飛びがちになる。

焼きつけてくる太陽(それは都会と質が違う)、セミの大合唱、
海で飽きるまで泳いだ後の、扇風機にかき氷、
井戸水で冷やしたスイカ・・・
少年でも潜ればウニやサザエはふつうに獲れた。
アワビはちょっと手ごわかった。
波は怖くもあり、友達のようでもあった。

コロナの影響で、今年のお盆の帰省は
自粛することにした。
94歳になるお袋に「帰って来んでええ」と気遣われた。
埼玉ナンバーの車でや来られたら迷惑や、と。
なんて世の中だ、と思ったけど、従うことにした。

若い頃には「めめしい」と散々バカにしていた
さだまさしの、こんな曲が最近胸に染みるようになった。

誕生祝いを ありがと
忘れずにいてくれて ありがと
誰かが 私の生まれ日のこと
覚えていてくれると 独りきりではないと
とても勇気が湧いてくるのです

幸せをありがとう ぬくもり届きました
なによりあなたが元気で よかった
宝物をありがとう 思い出届きました
生まれてきて よかった
  -さだまさし「Birthday」-

四国人らしく般若心経を唱え、不義理を詫びる夏。
コロナから、僕はまだ本当のことを学べてない。

 

8月6日、コロナ禍での「原爆の日」。
広島での平和祈念式典で行われた安倍首相のスピーチは、
鼻白むものだった。
「立場の異なる国々の橋渡しに努め、各国の対話や行動を
 粘り強く促すことによって、核兵器のない世界の実現に向けた
 国際社会の取り組みをリードする」
と言いつつも、核兵器禁止条約への署名はしない。
「粘り強く促す」「リードする」と聞こえはいいけど、
具体的に何をやってきたのか、教えてほしい。
「黒い雨訴訟」に触れることもなかったね。

また現地で49日ぶりに首相会見を行った際には、
「緊急事態宣言を出す状況ではない」と答えた。
春と比べて死者や重症者は少ない、
医療体制もひっ迫していない、と。
医療関係者はどんな思いでニュースを聞いただろうか。
死者は彼にとって「数」なのだ。

8日には新型コロナ感染者が全国最多を更新した(1,604人)。
11日には感染者の累計が5万人を超えた。
8日間で1万人増だ。世界では2千万人を突破した。
いやもう数字を追いかけるのはやめようか。。。

 

そんな折、元大地を守る会職員のF君から、
ジェイラップ(福島県須賀川市)の写真が送られてきた。

訪問したのは7月初旬だと。稲穂も伸び盛りの頃。
今年は恒例の夏祭り「風土 ㏌ FOOD」も開催できず、
行く機会を逸していただけに、嬉しく拝見した。

ちょうど生産団体「稲田稲作研究会」(以下、稲田)
の田んぼ巡回日に当たったようで、
懐かしい生産者面々の元気なお顔も見れて、よかった。

稲田のコメは味の評価が高く、レストランや料亭など
飲食店からの引き合いが多かった。
しかしそれゆえに、今年は大きな打撃を受けている。
つらいね・・・
しかし、こればかりは励ましようがない。
「食べ続ける」意思表示で励ます以外、ない。
コロナから「食」を見つめ直し、
大事なことを伝える努力を怠らず・・・

それでも稲田では無農薬米を増やしている、
とのF君からの報告。
長雨と日照不足にも負けず、やっぱスゴイ技術集団である。
なら、大丈夫か。。。

稲田の皆さん、どうかお元気で。
どんな天候にあっても品質を落とさない、
「再現性のあるコメ作り」を目指す稲田稲作研究会は
不滅です。この苦境を乗り切ることを信じてます。

 

8月11日(月)、
我が社の製造1課は、桃の前処理に明け暮れた。

山梨県笛吹市の生産者グループ
「一宮大地」代表・久津間紀道さんの桃。
7月から3回にわたって訪問し、集荷してきた。
合計1.2トン。
こちらも雨の影響で苦労が絶えなかったようだ。

いったん冷凍保管したものを取り出し、
水洗いしながら解凍させて、
一個一個皮をむき、
傷んだ個所を取り除きながらカットし、
再び眠らせる。

これが、これから先の
ジャム(「久津間さんと仲間たちの桃ジャム」)や
シロップの原料となる。
大事に扱う。

原料生産者の顔が見える「桃ジャム」。
こうして、ちょっとした傷のあるものや不揃いの桃たちも、
手間かけて、しっかり生かしてやるのが
加工屋の本懐である。

安い輸入原料に逃げることはできない。
なので少々高いものになってしまうけど、
値段の中に含まれる “守っているもの” を、
僕らはもっと伝えなくてはいけない。
新型ウィルスに振り回されながら、特に思うことである。
それこそが、僕にとっての
「アグロエコロジー」への連帯表明でもある。

コロナ後、他の事業者や生産者から持ち込まれる
製造依頼(受託製造、OEMというやつ)が
急激に落ち込んでしまった。
7月の受託実績も前年の半分以下だった。
次の製造計画も立てられないという事業者が増えている。

他社製品の製造も引き受けて、
国産原料を支えてきたつもりだが、
この先コロナ禍が長引いてゆけば、
耐え切れないところも出てくるかもしれない。
それは我が社にもボディブローとして響いてくる。
原料農産物の行方も心配になる。

国は経済優先に舵を切ったらしいが、だとしても、
今すべきことは「GoToトラベル」じゃないと思う。
暮らしの「土台」に思いを馳せることだ。

国産をしっかり食べよう!
地元の「食」を守り抜こう!
消費税の減税ができないなら、その税はすべて
地域(の暮らしを守る)経済に還元したらどうだ。。。
そんな苦し紛れの意見も吐きたくなる。

食料自給の大切さが見直されながら、
コロナによって作る人が減っていくとしたなら、
これはもう “人災” である。

どんな天候に遭っても黙々と「土台」を支える
人たちがいる。
彼らが報われる社会にしたい。
桃を剥きながら願う、コロナの夏である。

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