ささやかでも -函南町にマスクを届ける。

マスコミによる感染者の発表というのが、どうも気に入らない。
前にもチラッと書いたけど、
新たな感染者数と死者数ばかり読み上げて、
続々と退院者が出ていることには、触れてくれない。

たとえば昨日(5月14日)の新たな感染者数は全国で+100人。
死者数+17人。 に対して、退院者+470人。

亡くなられた方やご家族には本当に申し訳ないけど、
延べ約1万7千人の感染者に対して1万1千人近くが退院、
つまり3分の2近くがすでに回復している、という事実。

僕はこの、退院(回復)者の体験こそ聞きたい、と思うのである。
検査前後の置かれた状態や心境、
陽性の判明から入院に至るまでの経過に問題はなかったか、
また周囲の反応や暮らしの変化、
入院時では医療従事者の働きぶりや病院の状況、等々・・
怒りや憤りを感じたこともあれば、賞賛に値する事例もあるに違いない。
その経験はとても参考になる話ではないだろうか。
感染の不安を抱きながら暮らす人にとって、
また社会のこれからにとっても。
症状の軽重に差はあっても、
誰一人として何も考えずに帰ってきた人はいないはずだ。

本当は、すべての感染者を母数に、
診断から治療の経緯による結果の違いだけでなく、
生活習慣や病歴と症状の関連など、疫学的調査もやってほしい。
やっておかないと、後悔する気がする。

はたして僕らは、この喧騒の中で、ウィルスや感染症に対する
リテラシー(知識と公正な判断能力)を育てられているのだろうか。
僕自身、はっきり言って、まだ自信がない。
当事者となった人たちから、もっと学びたいと思うのである。

 

自分を守るためには、周囲を守らなければならない。
こんな当たり前のことを、改めて痛感させられている。

ただ警戒(防衛)しながら暮らすだけでなく、
自分にできることは、やっておきたい。
「お前は何をしていたのだ」と後悔しないためにも。
ささやかな行為であっても。

 

我が社は食品メーカーなので、マスクは常備している。
問屋とのつながりもある。
しかしこの間、マスクの調達はずっとタイトだった。
発注しても納期は遅れ、あるいは分割して届く時期が続いた。

足元を見て、というよりこの禍いを利用して儲けようとする、
高値マスクの売り込みもあった。
底をつきかけたら手を出していたかもしれない。

まとまった量が確保できるようになったのは(まだ少々高いけど)、
4月下旬に入ったあたりからか。
ずっと考えてきたことを実行することにした。

自力でできるだけの量を確保して、
困っている福祉施設や保育・教育関係等に届ける。

幸い函南町は一人の感染者も出ていないけど、
明日は分からない。
特に施設や学校等から発生すると、町全体が委縮してしまう。
人の動きが止まれば、事業にだって影響しかねない。

ただ自分が知っている、限られた施設だけでは、
かえって不公平な行動で終わってしまうかもしれない。
ここはやっぱ、行政に寄付するのが一番かと考えた。

函南町役場に連絡したのはGWに入る前。
佐野副町長と話をしたところ、まだどこも確保に苦労しているとの事。
病院でも、受付などは一般用マスクでしのいでいると。
「大変ありがたい」と言ってくれたので、
GW明けに届ける約束をした。

3層構造の一般的な不織布マスク。調達できたのは5500枚。
5月11日(月)に持参したところ、
町長に新聞社までが出迎えてくれて、かえって恐縮した。

随分と感謝されたけど、
本音は自分(と会社)を守るためだから。
その上で地域に貢献できたなら嬉しい、というレベルである。
枚数がもう1桁多ければ自慢もできたかもしれないけど、
急ぎたかったこともあり、まあこれが精一杯ということころ。

仁科町長からは「福祉関係を中心に配らせていただく」と言われ、
何だか町とのつながりが深まった気持ちになった。
こういう気持ち、よそ者としては、意外なほど嬉しいものだった。

翌12日、静岡新聞に小さく紹介され、そのコピーが
役場から礼状とともに送られてきた。

函南町の一事業者として、
「この町からは一人の感染者も出なかった」と言わせたい。
偏狭な地域主義かもしれないけれど、
自分でも不思議なくらい、そう思うのである。

エビちゃん、函南への地元愛が芽生えてきた?

いや、やっぱ、腹の底の底は、自分を守るためだね。
そのためにも、弱者に優しい社会であってほしい、
ということかと。。。

 

寄附ということでは、もう一つ報告を、次回に。
これはある意味でもっとリアルな危機対応なので、
多くの企業にも呼び掛けたい話です。

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