水源の森で・・・

公開日: : 最終更新日:2019/10/14 あんしんはしんどい日記, 食・農業・環境

10月に入り、消費増税が実施された。

我が社の場合、商品はすべて食品なので8%のままだけど、
包装資材や運賃など、原材料(食品)以外は
10%で請求されてくる。
それらは払った上で、商品を売る際には8%で請求する
格好になるので、払った消費税と預かった消費税は
最終的に相殺できるとはいえ、
少々気になる先払い額ではあるのである。
しかもだいたい運賃込みで卸し価格を設定しているだろうから、
キャッシュフローで日々苦労している小さな食品会社にとっては、
嫌なボディ攻撃になってないだろうか。

そんな想像をしたりしても、
こういうことは些末な話なのか、まったく報道されない。
この税が明るい国づくりにつながっているという
実感がないだけに、どうも今後の影響が気になってしょうがない。

 

さてと、すっかり遅れてしまったけど、
伊豆の森で体験したこと。
8月の話ではあるけど、アップしておきます。

ここは伊豆半島の真ん中に位置する伊豆市(旧中伊豆町)
地蔵堂にある満城の滝。

天城山を源とし、伊豆半島を代表する河川・狩野川に
合流してゆく地蔵堂川の途中にある観光スポットで、
人気のキャンプ場もある。

この滝の少し上で、山林の間伐作業などをやっている
「森林(もり)づくり伊豆の会」という
ボランティア団体があって、その活動に参加させていただいた。

会のメンバーは60名ほど。
東京など県外のメンバーもいるのに、意外にも
根っからの地元住民は少なく、都会から移り住んだ人が多い。
しかもリタイヤして、何か地元に貢献したいという思いで参加する
ちょっと高齢のオジサンたちが中心になってる、と
代表の川合正恭(まさやす)さんは説明してくれる。
「地元の人は、諦めてる感じだね」というひと言が、
なんだか切ない。

会のスローガンはこう。

「山が綺麗になれば、川が綺麗になり、住んでいる町も綺麗になる。
 そして、そこに住んでいる人の心も綺麗になる。」

 

この日は暑い8月のお盆の直後とあってか、
参加者は10人ほど。

いま間伐作業を行なっている場所はお寺の所有林で、
「間引きしてくれるなら有り難い。好きにしていい」と、
お寺から了解を得ている。
植林して40~50年という杉や桧(ヒノキ)が林立し、
手が入れられず放置されている。
なんとも勿体ない。こんな山が全国いたる所にあるなんて、
何なんだこの国は、と言いたくなる。

その中を歩きながら、間引く木を選別し、
伐り倒していく。
伐ったら80cm間隔くらいで丸太にカットして、
まとめていく。

「あなたもやってみますか」
と、川合さんが手ほどきしてくれる。

チェーンソーを使うのは何十年ぶりだろうか。
しかもこれほどの生きた木を伐るのは初めてだ。

木を選んだら、倒す方向を定める。
林立する木と木の間に、正確に落とさなければならない。
その方角に向かって手前をまず横に切り口を入れ、
次に上から斜めに入れて ∠ の形に切る。
そして反対側から切っていくと、目指した方向に倒れ始める。
内側の切り口がずれていたらその方向に傾く。

ここでの方法は、そのまま切りきらず、
傾いたところでロープをかけ、ゆっくり切りながら
一方でみんなで引っ張って、所定の角度に向かって倒すやり方だ。
安全と正確さを期してのことで、
プロはこんな悠長なことはやらないんだと。

ちょっとヤバかったけど、みんなの協力で、
何とかねらった方向に落ちて、ホッとする。

それを先輩たちはさっさと丸太に刻んで、
一ヵ所にまとめていく。
直径20cm × 長さ80cmほどの丸太が
出来上がっていく。

 

 

しかし問題は、そこからだ。
この丸太が、まったくお金にならないのである。
会では「木工倶楽部」というクラフトを楽しむ別グループが
あるようなのだが、それではすまない量が生産されていく。
そう、これは「生産」のはずなんだけど、
ここから先がプツっと途切れているのだ。

チップにすれば買い取ってくれる業者があるが、
それでも軽トラ一杯にしても、5千円だという。
今は沼津の戸田(へだ)まで運んで、
自然塩を製塩する際の薪(まき)に使ってもらっている。
40~50年もののヒノキが、である。
「来月の活動は、その運搬をやります」
と川合さんはメンバーに伝えている。

伐った場所には光が入り、健康な森が育っていく。
しかし「綺麗な森を残したいよね」と
作業を続けるのは、報酬なし、手弁当で山に入る
ボランティアたちである。
ここではすでに林「業」は成立していない。

 

台風15号で、たくさんの倒木が
インフラの復旧を妨げたといわれる房総半島。
あそこは銘木・山武(さんむ)杉の産地だった。

しかし輸入自由化と木材価格の下落で林業は立ち行かなくなり、
間伐もできずに放置されて、痩せたスギ林が残された。
しかも実生からでなく接ぎ木で造林したこともあってか、
溝腐れ病という病気が蔓延してしまった。
それが今回の台風による風でポキンポキンと折れてしまったのだ、
と言う。地元の農家から聞いた話だけど。

おじいちゃんたちが孫のためにと植えた森が
すっかり放置されて、土砂災害を防ぐどころか、
その原因になってきている。
大量の雨(=水資源)と折り合いをつけながら暮らしてきた国で、
「国土保全」意識は江戸時代より脆弱になってしまったみたいだ。
誰がこんな “ 美しくない ” 国にしたんだろう。
生きる資源の「源」だぞ。。。
水の道を守ることを忘れた民族は、滅びるしかないと思う。
歴史的に見ても。

 

戎谷さんはずっとご商売されてきたみたいだから、
なんか考えてみてくれませんか。
 - と川合さんに言われ、
戸惑いつつも・・・何とかしたいとは思って、
丸太を3cmほどにカットしたのを、何枚か頂戴した。

それからずっとヒノキチオールの香りが漂う部屋で、
僕は思案し続けている。

Comment

  1. 加藤克三 より:

    戎谷様
    写真を拝見すると、枝打ちや、除伐などきちんと手入れされたきれいな森ですね。後は未来に向けた計画的な間伐。人の手で作られた森は最後まで責任を持たねばですね。
    ところで、温暖化防止にもつながる脱プラスチックの気運。割りばし化もありかと。
    http://juon.or.jp/activity/activity_53.html

  2. エビスダニ より:

    加藤克三さん
    コメント有り難うございます。まったくブログに手が回らず、お礼が遅れてすみません。
    「最後まで責任を持たねば」-仰る通りなんですが、山主も維持管理する力を失い、請負業者もいなくなってきている状況で、厳しいですね。総合的な持続計画を築き直す必要があります。ポテンシャルはとんでもなくある筈なので。今度飲みながらでもお話ししたいですね。お元気で。

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