茶畑ソーラーシェアリング

公開日: : 最終更新日:2019/07/28 脱原発・自然エネルギー, 食・農業・環境

前回からの続きを。

6月29日(土)、
「全国ご当地エネルギー協会」定期総会の前日、
営農型太陽光発電の事例を学ぼうと、
茶畑ソーラーシェアリングの現場を訪ねた。

場所は菊川市、㈱流通サービスさんが営む茶園。

社名からは物流会社を想像するが(実際に存在するし)、
代表の服部吉明さんによると、
先代までは焼津で茶問屋を営んでいたが、
4代目として継いだ時に生産からやりたいと思い立った。
茶の栽培から製品仕上げまで、自分で作って自分で売りたいと、
農業法人を立ち上げ、茶園を増やしてきた。
しかも日本茶だけでなく、オーガニックやフェアトレードの
コーヒー豆の輸入から焙煎・販売、紅茶やハーブティの
製造販売まで手掛ける。
広く事業をやりたくて「流通サービス」という社名にした
ということである。

やるからには有機栽培で、と迷いもなかった。
そして今では、オーガニックの抹茶や玉露を
欧米はじめ21ヵ国に輸出している。
しかも商社を通さず、自分で海外まで営業に出かけ、
すべて直取引だというから、とんでもない “スゴ腕” である。

抹茶にする品種、「さみどり」だと聞いた。

抹茶用の茶は一定期間、棚を作って遮光する必要がある。
そのために通常は寒冷紗みたいな布で覆ったりするのだが、
そこで服部さんが考えたのがソーラーパネルであった。
それによって霜が当たらなくなった。
日照りも抑えて、干ばつ状態にならない。
パネルを建てるのに杭を打つが、それがかえって
水はけを良くして、根腐れがなく、成育も良くなる。
つまり品質も上げてくれるんだと。

ソーラーがあることで、お茶の評価も上がったと
服部さんは言う。
有機栽培に自然エネルギーの取り組み。
環境に配慮した栽培方法として、
日本より海外のほうが認めてくれる。
日本では価格の安い “なんたって抹茶” のほうが
売れていると嘆くのである。

視察に参加した農水省の職員(写真右)にも
丁寧に説明する服部さん(同左)。

畑一枚一枚、土壌分析をして肥料設計をする。
地域の土壌にあった品種選定もする。
彼の有機栽培は丹念な観察と分析を基に成り立っている。

その上にソーラーパネルだ。
畑が電力も産出する。
売電だけを目的にした設備投資ではない。
茶業経営のために考えた合理的判断だったが、
それがお茶の価値も上げることになった。

地元の子供たちにも茶の木を植えてもらっている。
体験学習も積極的にやっているのだ。
それが地域への貢献につながっている。
外国からの視察者にも作業を体験してもらう。
ただの取引以上のツカミを心得ている。
日本の有機農業にもまだまだやることはあるのだと
教えてくれているようだ。

視察メンバーで記念撮影。

こんなふうに自然エネルギーと農業経営をマッチさせる
未来の形が現われてきている。

地球に降り注ぐ太陽エネルギーの1万分の1を使いこなせたら、
この星にエネルギー問題はなくなると言われる。
僕ら地球生物の生存基盤は植物による光合成なので、
結局どんなにあがいても生態系の生命力から離れることは出来ない。
ヒトがこの星とどんな調和的(持続的)世界を築いていけるのか、
あるいは滅びるのか(滅びるのは生態系の前に人類なので)、
知恵のたたかいはいま、次のラウンドに入っているのだ。

ソーラーシェアリングは答えではなく、
総合的な知の結集にむけての、ひとつの素材である。
もっと前に進むための。

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