「水」がつなぐ、ということに・・

公開日: : 最終更新日:2019/05/30 かんなみ百景, 雑記その他, 食・農業・環境

田植えが進んだ丹那盆地。

 

上から撮ってみたくなって、少し山を登ってみる。

もっと登れば、あるいは別な角度の道だと
もっと眺望のいいスポットがあるんだけど、
手っ取り早い場所ですませてしまう。ダメだね。
やっぱ山都の大友さんのようにしっかり歩かないとイイ写真は撮れない。
風景に対する “思い” の差か。

引き返そうとしたら、後ろ(上)から声をかけられた。
振り返ればバンダナを頭に巻いた初老のおじさんが立っている。
「あなたも写真ですか」
「あ、いや、それほどの目的はなく(汗)。。。ただこの時期の
 水が張られた田んぼの風景が好きで、上がってきちゃいました」
「ホント、いいですよね、この盆地は。
 もっと上のほうがいい絵が撮れますよ。
 日暮れまで待ったら、さらに良くなる」

おっしゃる通りで、お恥ずかしい。。。でも、
僕はこの方や大友さんほどロマンチストにはなれないけど、
湖の出現かと見紛うようなこの時期の水田風景は、
心底から美しい、とは思うのである。
田植え前後、まさに「水の国」と呼ぶに相応しい姿が現れる。

しかし今はどこに行っても
耕作されなくなった田んぼが増えている。
この盆地があなたの口をして「いいよね」と言わせるのは、
荒れたほ場がないからだ。
それには、引退していく農家の田畑を借り受けては
活用に努める酪農王国オラッチェの存在が欠かせない。
王国にとってはこの盆地全体が必要な景観だし、
牛のたい肥利用から安全で良質な農産物生産につながる
「輪」の世界なのだ。

人類の生存条件と言ってもいいだろうこの価値は、
生産者が「ちゃんと(普通に)飯が食っていける」ことで
税金に頼らずとも守れるはずなんだけど、
この国は「食」を見かけの値段や損得で計るばかりだ。
おかげで税金はどんどん高くなり、
その「公共への負担(投資)」も我田引水のカラクリにハマっている。

 

緑のままの一角は、丹那名物・パラグライダーの着地点として
残している場所である。

ちゃんと定期的に草を刈って、手入れしている。
農薬散布も見たことがない。
集まってきた白鷺たち。餌もいっぱいあるんだろう。
彼らものどかな景観(公共資産)を構成する仲間である。

 

今日は、会社に来る前に立ち寄った所がある。
(日曜日なのに? ええまあ、出来の悪い社長なもんで。
 いや長年の病気かも・・・)

上の写真は2年前にオープンした道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」。
沼津から下田まで通す計画で、今も建設途上にある伊豆縦貫道が
いったん途切れる「塚本」インターを降りるとすぐの場所にある。

その道の駅から連絡通路「富士見橋」を渡ると(写真右端)、
日本百名川にも名を連ねる狩野川(かのがわ)の河川敷にぶつかる。
天城山を源として駿河湾に至る伊豆の名川だが、
歴史的には氾濫(水害)を繰り返してきた暴れ川でもある。

そこに4月27日、「川の駅」がオープンしたのだ。

見ておこうと思ったのは、堰さらいに行って
「水利」について思い巡らせてしまったから、かもしれない。

 

この施設は、水辺に親しむ憩いの場として、
また教育やアウトドアスポーツ(カヤックやリフティング等)
の場として利用されるだけでなく、
出水時には防災の機能を発揮する場所として建設された。

多目的広場あり、水遊び場やカヤックの離発着場あり、
災害時用のヘリポートもある。
建物(多目的センター)内には、気象や河川の状況が
監視できる設備の他、非常用電源(ソーラー発電)や
自家発電設備、人力ポンプ井戸などを備えている。

伊豆・天城山系は雨量も半端なく多い(年間平均降水量3,000㎜)。
戦後(1945年以降)だけでも12回の洪水記録がある。
有名なのは1958(昭和33)年の「狩野川台風」で、
死者・行方不明者853名、家屋全壊・流失948戸という
大災害を流域住民は経験し、今も語り継がれている。

2004年以降に災害が起きてないのは、
防災対策の整備が終わったからではなく、直撃台風など
大きな災害をもたらす事態が発生していないだけ。
これは地元土木事務所ですら訴えるところである。
大事なことは、減災(人智で被害を減らす)思想、
災害リテラシーを育てることだ。

水の流れは恵みも運んでくる。
堤防などで居住空間と切り離してすむ話ではなく、
みんなで共存の知恵を育んでいかなければならない。

しかし決定的に足りないのは食のリテラシーだろう。
何を守り、何を選び、どう食べていくかは
環境全体とつながっている。
僕らはもっと本質を伝える努力をしなければならない。

 

水害対策、水系を守るとは、
山を守ることでもある。

盆地の写真を撮った隣にあった花畑を眺めながら・・・

 

来月6月2日は、思い切って宮城まで行くことを決めた。

NPO法人 森は海の恋人」から、GW明けに
植樹祭30周年を記念して作られた写真集が送られてきていて、
堰さらいの次は久しぶりに山に木を植えに行こうか・・・
少々悩んでいたのだ。

今や、世界に認められる “森を守るヒーロー” となった
代表の畠山重篤さんは、「大地を守る会」時代のブログから
たしか5回ほど登場してもらったけど、僕は
かの有名な植樹祭には参加したことがない。
何しろ参加者が千人を超すビッグイベントである。
労働力として働こうと考える前に、遠慮がはたらいてしまう。

初めて取材を名目にして尋ねたのは、
1994年の秋だったか。
畠山さんは小学校での講演に連れて行ってくれた。
それで取材を済ます魂胆だったのだ。
一緒に校長室に入った時のバツの悪さは忘れられない。

震災から1年経った2012年の3月に
車で岩手から宮城まで走った際には、
カキ養殖の現地・唐桑町舞根湾も訪ねてみたのだが、
状況を見るだけで、アポなしで畠山さんを伺うのは控えて帰った。

「復興」という掛け声から8年経ち、
今年も木を植える畠山さんがいま語る言葉に、
耳を傾けたいと思う。

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