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小泉純一郎氏が語る「日本の歩むべき道」

2018/11/15
  • 生産者・産地情報
  • 脱原発・自然エネルギー
小泉純一郎氏が語る「日本の歩むべき道」

11月9日(金)、
さんぶ野菜ネットワーク設立30周年記念大会
の続き。
後半の特別記念講演に呼ばれたのはこの人。
元内閣総理大臣、小泉純一郎氏。
演題は「日本の歩むべき道」。

この方の講演を直接聞くのは初めてだけど、
話の「間(ま)」をおそれず、ゆっくりと
文節を区切りながら、断定的に話す口調は巧みである。
しかも間(あいだ)に語りかけてきたり、笑いも取る。
けっこうみんな聞き入っていた。

冒頭は場所と聴衆を意識してか、野菜の大切さを語る。
健康診断でかなりヤバい数値が出たが、薬だけに頼らず、
食生活に野菜を多く取り入れるようにしたところ、
劇的に改善した。
「皆さん、野菜は大切です」と。

本題はやはり「脱原発」となるのだが、
自身の変節に対してここまで大らかに開き直った
政治家はいないだろう。
「総理大臣の時は、僕は原発推進派だった。
 官僚たちの説明を聞き、原発は必要なものだと思っていた」
「しかし3.11のあと勉強し直して、フィンランドのオンカロ
 (高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設)まで見に行って、
 原発はダメだ、未来はないと確信した」

そして論語を引いて、こう言い放った。
「皆さん。過ちとは、過ちを認めないことを言うのです」
笑って脱帽するしかない。。。
被災者からすれば、とてもそんな話では済まされないと思うが、
なんだか憎めない気がしてくるから不思議である。

脱原発の根拠として語られたのは、以下の3点。
・「原発は安全、事故は起きない」はウソだった。
 事故は繰り返されてきたし、そもそも事故が起きないという
 技術はない。
・「原発はコストが安い」というのも、真っ赤なウソ。
 すでにコストは上がっているし、廃炉から廃棄物管理まで
 考えれば、そのコストは計り知れない。
 しかも日本では未来永劫にわたって安定して貯蔵できる場所がない。
・「原発はクリーン・エネルギー、温暖化防止に役立つ」もウソ。
 稼働中の発電からはCO2を出さないかもしれないが、
 もっと怖いものを出している。
 温暖化防止なら自然再生エネルギーを選択すればよい。

加えて核燃サイクルの破綻である。
動かせば動かすほど高レベル放射性廃棄物が生み出されてゆく。

すでに分かり切っていた話だと思うのだが、
改めてこの方の口から語られると、聴衆は引きずり込まれ、
頷いたりするのだった。
まあ、これからも訴え続けていってもらえればいいか、
と何だか優しく見ている自分に驚かされる。

しかしここで脱原発の話だけ、というのは
どうもいただけない。
食と農業の未来像を示してほしかったし、
グローバリゼーションと経済の行方について、
あるいはグローバル企業に日本の公共資産が売られていってる
現状についての知見なども伺ってみたいものだった。
だって演題は「日本の歩むべき道」なんだから。
せめて前回紹介した下山さんの檄文に応える
ひと言だけでも欲しかった。

もし会場からの質問が許されたなら、
原発の再稼働について、小泉さんの見解を聞いてみたい
ことがあった。でも質疑は許されず、
どうぞ一緒に写真を撮りましょう、皆さん元気で長生きしてね、
これからも頑張りましょう、と笑顔を振りまいて、
帰って行かれた。
僕の中に溜まっている疑問は、
今回のレポートの最後に提示させていただきたい。

大会の最後は、30年の歩みのスライド上映。
生産者たちの家族の笑顔が嬉しい。
たくさんの交流風景も映された。
頑張っている後継者たちの姿もあった。

苦労は語らず、未来に向けての希望を伝えたい。
そんな思いが伝わってくる。

 

大会のあとは、集出荷場に移動して祝賀会となる。

第1世代の生産者には労をねぎらい、
若手には励ましの言葉をかけ、他団体の方々とも語らい、
楽しい時間を過ごさせていただいた。

僕にとっては、中でもこの人。
稲作体験田の持主、佐藤秀雄さん・つやこさん夫妻。
今日は功労賞の受賞、おめでとうございます。

故・今井征夫さんの後を継いで、
2年目から田んぼを貸してくれた、
“山武の五郎ちゃん”(俳優の田中邦衛似から消費者が名づけた)。

二人を結んだのも体験田のお米だった。
今井さんの田んぼから数えて29年。
来年は体験田の30周年だ。僕も行かなくては。。。
最近は二人とも腰が痛そうだけど、
いたわり合い、仲良く長生きしてください。

 

翌10日(土)は、福島県二本松まで足を延ばした。
その報告を次に。

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