アジサイに囲まれて-

公開日: : 最終更新日:2018/07/09 大地を守る会, 生産者・産地情報

6月9日(土)、
久しぶりに東京・小金井の
阪本吉五郎(きちごろう)さん宅を訪ねた。
大地を守る会に葉物野菜を中心に
出荷し続けてもう40年近くになる。
東京という巨大都市の近郊で、
ずっと農業を続けてきた。しかも無農薬でだ。
僕はこの方を、そして跡を継いだ息子・啓一さんも、
それだけで尊敬している。

吉五郎さんがガンの病に倒れて
もう20年くらいになるか。
当時はまだ60代だったけど、覚悟したのか、
大好きなアジサイに囲まれて逝きたいと、
庭をアジサイ一色に植え直し(挿し木で増やしていく)、
その庭を眺める部屋まで改造したのだった。

それから毎年、アジサイの花が咲く時期に
職員が吉五郎さんを訪ねる、
「アジサイ鑑賞会」と銘打ってのバーベキューの宴が
開かれるようになった。
そしてどっこい、吉五郎は完全復活し、
ますますご健勝となられ、
阪本邸は見知らぬ人が見学に来るほどの
アジサイ庭園となったのである。

僕がこの会に参加するのは、なんと10年ぶりである。
この間いろんなことがあって・・あり過ぎて、
すっかりご無沙汰してしまったけど、
以前と変わらない、手入れの行き届いた
美しい庭園が温かく迎えてくれた。

バーベキュー前に、眺めさせていただく。

今年は咲くのがずいぶん早かったらしく、
もう終盤とのこと。
後ろから奥さんがしきりに残念がる。
「一週間前だったら、良い色してたんだけどねー」

いやいや、充分素晴らしいです。

奥さんがアジサイの間に植えたというアオイが、
真っ赤な花を咲かせていた。

北海道を旅行した際に持ち帰ったという、
ラベンダーのような紫色の花も満開だ。
ただ、名前がどうしても思い出せないのだと。
聞かれても、答えられるだけの花の知識は
僕にはない。

吉五郎さんはこの景観が気に入らないようで、
「こんなもん植えやがって」と吐き捨てるように言う。
でも奥さんはまったく動じない。
「こういうのもあったほうがイイよ、ねぇ」
と、僕らに同意を求めるのだった。

二人に相槌打ちつつ、いやいやお幸せにと、
笑ってごまかすしかない。

今年88歳になる吉五郎さん。
昔はけっこう怖い人だった。
「赤い爪(マニキュア)して来るような消費者は、
  オレの畑にはゼッタイ入れさせねえ」
と啖呵を切る江戸っ子だった。

 

バーベキューが始まる。
大地から持参した肉を豪快に焼くのは、息子の啓一さん。

こちらも強面(こわもて)のようで、
障がい者支援の活動を長くやった、優しい男だ。
趣味は星空観察。
天体望遠鏡を担いで地球の裏側まで行ったこともある。
僕は彼の中にロマンティストの一面を見てきた。

 

やがて大地OBも何人かやって来て、
楽しい宴会となる。

写真を撮るのを忘れたけど、
「東京有機クラブ」(阪本さん中心に集まった生産グループ名)
の仲間、小平の川里弘・賢太郎親子も参加していて、
賢太郎くんとは、詩人・谷川俊太郎さんの映画に協力した
思い出話も飛び出した。
それももう5年前のことだ(封切りは4年前)。

 

ひとしきり飲んだ後、
改めて吉五郎さんが庭園を案内する。

ウンチクを聞かされるも、
酒が入った頭では、その場では理解したはずでも、
朝には記憶に残っていないのだった。
「てめえらに教えようとした俺がバカだったよ」
という声が聞こえてきそうだ。
吉っつぁん、スンマセン。。。

夜のとばりが落ちてきて、
庭園を一望する部屋に移ってしばし、
ライトアップされたアジサイを眺めながら
歓談となる。

いや、いろいろうるさいこと言ってきたけどさ、
大地と付き合ってきて、楽しかったよ。。。

吉っつぁんにそんなふうに言われると、
こっちも恐縮してしまう。
大地を守る会も、生産者とこんな付き合いをさせてもらいながら、
生き方まで学び、成長してきたのだ。
社名は変わっても、この伝統というか精神だけは
失ってほしくないと思う。

 

谷川俊太郎さんの詩に、
こんなのがあったのを思い出す。

生きていること
いま生きているということ
・・・・・・・・・・
すべての美しいものに出会うこと
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと
-『生きる わたしたちの思い』(角川マガジンズ)から-

 

次に来れるのは何年後だろうか。
吉っつぁん、
美しいアジサイ庭園を愛でながら、長生きしてください。

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