今年も開催、30年目の「丹那交流会」

田植えもすべて終わって半月強くらい。
しっかりイネも活着して、育ち始めた田んぼに
サギの姿も増えてきた丹那盆地の田園風景。

春の田起こしから始まって秋の収穫まで、
田の風景は田そのものが生きているように変化していく。
この頃はいよいよ生き物たちも増えてきて、
生命の蠢(うごめ)きとつながりを感じさせる時節である。
夜のカエルの合唱など聞き入っていると、つくづくと
僕はこの国が好きなんだなあと思えてくる。
政治の醜悪さには嫌悪感が募るばかりだけど・・・

 

晴天に恵まれた昨日、この地で
大地を守る会恒例の交流会が開催された。
昨年までは丹那牛乳(函南東部農協)主催で
行なわれてきたものだが、今年は
酪農王国オラッチェにフルーツバスケットも共同して、
3社共催の形で実施する運びとなった。

こちらが力を入れたこともあってか、
今年はオイシックスドット大地(以下O.D)でも、
「体感研修」と銘打って職員を集めてくれた。
おかげで、参加者は総勢100名弱と、ここ数年の倍以上に膨れ上がった。
3社の担当が集まって、直前までオペレーションの確認をして
迎え入れた次第である。

挨拶はこの方から。
函南東部農協組合長であり、酪農王国オラッチェ社長でもある
丹那のドンファン、じゃなかった、ドン・片野敏和さん。

丹那牛乳と大地を守る会が共同で
低温殺菌牛乳を開発したのが36年前。
片野さんのお父上が組合長だった時代。
全国に先駆けての取り組みは、当時の両者にとって
とてもハイリスクな冒険だった。
組合にとっては新しく低温殺菌プラントを増設するという、
一歩間違えれば役員の首も飛びかねない投資だっただろうし、
まだ会員3千名程度の大地を守る会としては、
製造ロットをさばく(売る)ことは、組織の存亡を賭けた、
まさにたたかいだった。
その年に入社したばかりの僕も、必死で売った。
いや、“売った” というより、ひたすら説明し説得する日々だった。
「ホンモノの牛乳を、子供たちのために」- を呪文のように。

「大地さんとはもう長い間、一心同体でやってきました」
片野組合長のひと言に、重い歴史が重なる。
丹那盆地は大地を守る会にとって “聖地” の一つである。
あれから36年。
交流施設として「酪農王国オラッチェ」を一緒に開設して21年・・・
ここに拠点を置いたフルーツバスケットを引き継いだ者として、
改めて身が引き締まる思いがした。

 

さて、挨拶もそこそこにして、
会員と職員が入り混じった今年の参加者一行は
2班に分かれ、まずは牛乳工場から牛舎(片野牧場)まで見学。

そしてそのまま、4班に分割して体験コースへと流れる。
今年初めて取り入れた企画だ。
ここからはオラッチェ・スタッフの出番となる。
 Aコース:バター作り体験
 Bコース:牛の乳しぼり体験と動物とのふれあい
 Cコース:無農薬ハーブ園でハーブ摘み体験
 Dコース:野菜畑でジャガイモ収穫体験

乳しぼり体験の様子。
牛の乳房に触れ、普段飲む牛乳が母牛の体内から
飛び出てくる瞬間に、何かを感じてくれれば嬉しい。

牛舎の前で、
毎年お産をさせて本来は子牛に飲ませるお乳を人間が頂いていること、
そんな説明もあったと思う。聞いてくれてたかなあ・・・

ハーブ園でのハーブ摘み体験。

これはシソ科ラムズイヤー。
羊の耳のようなフワフワの葉が特徴で、
寒さに強く、花壇の縁取りやブーケなどに使用されます。

「体感研修」の職員には事前にこんなメッセージを送ったんだけど-

もしあなたが初心者なら、まずハーブの名前・葉や花の形を憶えましょう。
いつかどこかで役に立ちます。
その香りを楽しみ、癒しのひと時をお過ごしください。
さらに誇り高きオーディスト(O.D社員の呼称)のあなたなら、
様々なシーンで暮らしに溶け込んでいるハーブの世界を描きながら、
自分ならではの “売り” の言葉を発見してほしい。

さて、どうだったでしょうか。

温室内ではバター作り体験。
もう終了して、みんなパンに塗ったりして試食タイムを満喫していた。

畑のほうも回ろうと歩いたら、
もう収穫したジャガイモを袋に詰めた参加者たちが
帰ってくるところだった。

短い体験タイムを終えると、もう12時半。
お待ちかねのバーベキューとなる。
肉はやっぱ、大地を守る会ならこれを用意するしかない。
岩手県山形村の日本短角牛。

肉とソーセージと調味料と油は「大地」から。
オラッチェからは日本初のオーガニック地ビール「風の谷ビール」。
フルーツバスケットはジュースとお茶をふる舞い、
ケーキ工房「ムーラン・ナ・ヴァン」は
本日のために用意したケーキと焼き菓子の予約注文に対応した。

野菜は地元の「丹那野菜」。
牛糞堆肥を使った循環型農業で育てられた野菜たちである。
オラッチェではこの野菜もブランド化しようとPRに精を出している。
酪農と農業の連携で地域の環境と経済を守っていく、
そのひとつのモデルがここにある。

ただ、僕は密かに思うのである。
せっかく酪農130年の歴史を誇る丹那でやるバーベキューなんだから、
お産と搾乳を終えた廃牛の肉を食べてもらってもいいんじゃないか。
ひと口の試食でもいいから。
おそらく誰も食べたことないだろうし。
来年はチャレンジしてみたい。

 

しっかり食べて飲んで満腹になってもらったあとは、
生産者を囲んでの「車座トーク」。

酪農というお仕事について、
毎日牛の世話をしながら思うこと、
「大地」とのお付き合いの歴史を振り返ったり、
あるいは大きく日本の未来について・・・

じっと聞き入っている人もいれば、
いろいろと知りたくて質問を続ける人もいる。
「ITを活用してお役に立てることは」
と聞いているのは、いやいや、今どきの職員だね。。。

思い返せば、初めてこの交流会が開催されたのが1989年。
30年目の「丹那交流会」であった。
色んな変遷があったけど、よくぞ続いてきたものである。

いや、まだまだ続けなければならない。
作る人と食べる人がもっと理解を深め、暮らしの土台である食と環境を
ともに支え合える、そんな社会を築いていくために。

 

最後に、若いオーディストたちに告ぐ。
「体感」だけで終わらせず、しっかりと言葉に残して記憶してほしい。
僕らは、生産と消費をつなぐ架け橋なんだから。
そして自分たちが楽しむだけでなく、生産者に褒めてもらい、
会員には満足感と信頼感を高めてもらうためにここにいることを、
忘れてはいけない。
職員のホスピタリティの質は、組織を語るからね。

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