いま改めて、 “桃の精” に-

公開日: : 最終更新日:2018/05/03 生産者・産地情報

4月14日(土)山梨県笛吹市。
桃の生産団体「一宮大地」代表・久津間紀道さん宅で
桃のお花見会が開かれた。

始まったのは10数年前のある年。
いよいよ繁忙期に入る合図とも言える開花の時に、
花を愛でながら内輪で精を養うひと時でも、
とそんな感じで始まったように記憶しているが、
今では複数の取引先が集う親睦の意味合いも加わって、
賑やかなイベントになっている。
そして今年はなんと、
オイシックスドット大地㈱(以下OD)からバスが仕立てられ、
3、40人ほどのODスタッフとその家族が集まったもんだから、
これはもはや立派な公式行事、って感じだ。

と解説するわりには、僕は意外と参加できていない。
実は2009年春 (4月4日)以来である。
あの時はまだ、紀道さんのお父上・範彦さんが健在だった。
宴会の終了前に挨拶に立ち、
「みんなの力で、日本の農業をよくしてくれ!」と
声を詰まらせたのを、今でも覚えている。

範彦さんはその花見会の11日後、
つまり2009年4月15日、
まだ桃の花が咲いている時に、急死された。
あまりに突然の訃報で、ショックのあまり、
僕はこの事態を一行も書くことができなかった。
明日が命日・・・
改めて、あの時のひと言を噛みしめる。。。

かつて範彦さんを “桃の精” と紹介したのは、
大地・広報室時代の後輩で、今はライターとして著書もある
手島奈緒さんだった。ご一読いただけると嬉しい。

 

思い返せば9年ぶり、という今年の花見。
フルーツバスケット(以下FB)に移ってから、
ジャム用の桃の集荷で夜に伺ったり、
久津間さんもFBまで来てくれたりしたが、
花見はいつも何かと重なって参加できずにいた。
今年はようやくタイミングが合い、
ジャム製造担当者2名を誘って、ジュースにお茶に
オラッチェの「風の谷のビール」に、と積んで、
東名から東富士五湖道路-中央道と走ること2時間。
桃の花はもう後半に入っていたけど、
まだ満開という木も残っていて、僕らを迎えてくれた。

今は摘花の最中ということで、
少しだけお手伝い、いや体験をさせてもらう。

枝ごとにどのように実を残すかを想定しながら、
実を成らせない花は摘みとる。
さほど難しくはない作業ではあるけど、
すべての木でこの作業を短期間にこなすことを考えると、
おそらく我々と生産者の間には、
ソロバンの初級と ●段くらいの差があるのだろう。
しかもその次には受粉という作業が待っている。
何だか今日一日楽しませてもらうのが申し訳ない
気持ちになってくる。
桃の木の下には汗が埋まっている・・なんちゃって。

「一本でどれくらいの時間かかるの?」
と紀道さんに聞けば、そっけない返事。
「いや~、ハハ。大してかかんないっすよ」。
それ以上聞けない。

高所作業車に乗せてもらった参加者。
いい眺めのようですね。

さて、準備も整ったところで、
花見会という名の交流会開催。
乾杯の音頭を取る紀道さん。

新規就農者も加わって、「一宮大地」メンバーは
すっかり若手中心の組織になった。
頼もしいね。

紀道さんの妻・裕子さんと
お母さんのますほさん。

今回の様子を見て、
ますほさんから辛口のひと言が出た。
「マイ箸・マイコップを持って来るように言ったでしょ。
私たちはずっとエコでやりたいと思ってます。」

はは~と頭を下げて、
バーベキューは盛り上がっていく。

裕子さんたちの楽団による演奏が
すごくこの雰囲気にマッチしていて、癒される。

日本酒も持参したんだけど、やっぱ山梨である。
今日は甲州ワインでいきましょう。。。
てな感じで、
楽しく桃花見の時間は過ぎていったのだった。

 

“ 桃の精 ” へ-
宿題は遅々と進んでませんが、
紀道さんは次の時代に向けて仲間を増やしてます。
立派な後継者になりましたよ。
僕らは少々紆余曲折しているけど、
受け皿を作るという点では、頑張っています。
背骨は曲がってないか?
という問いは、、、目を逸らさず受け止めます。

大地を守る会からFBに移って実現させた製品のひとつ、
「久津間さんの桃ジャム」。

これが今年は
久津間さんと仲間たちの桃ジャム」となって、
リニュアルします。
ジャムで農業を守れるとは思ってないけど、
農業を守る一員としてのジャム、ではあります。

けっこう怖かった桃の精へ。
眠らなくていいです。見守っていてください。

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