「種蒔人」25回目の誕生、次の四半世紀へ

公開日: : 最終更新日:2018/02/17 生産者・産地情報, 米プロジェクト21, 脱原発・自然エネルギー

2月3日(土)、
昨年紹介した渡辺智史監督の新作ドキュメンタリー映画
おだやかな革命』が東中野の「ポレポレ東中野」にて封切りとなり、
勇んで出かけたところ、何と!!
満席で入れないという事態になっていた。
「立ち見でも」と交渉するも断られ、
夜の部まで待つことも考えたが、
函南に戻る予定もあったので断念した。

劇場の入口に立っていた渡辺監督に挨拶はできたので、
まあ「来た」というアリバイはつくれたけど、
どうやら自分はこの映画の力を過小に見積もっていたようだ。
監督、申し訳ありません!! 面目ない。

珍しくも夫婦で出かけたのに観れないとは残念だったけど、
初日「各回すべて満席」とは喜ぶべきことで、
新しい社会への代替案や生き方を模索する人たちによる
「おだやかな革命」は静かに進んでいるのだと、
ここは監督・出演者に代わって叫んでおきたい。

結局、僕は試写会で観ていたこともあったので、
クラウドファンディングの返礼品でもらったチケット2枚は、
映画に関心を示していた娘と彼氏に譲ることにした。

 

そしてその一週間後(3月10日)、
今年もこの日がやってきた。
22回目となる「大和川酒造交流会」。
別名「この世の天国ツアー」。
何処にいようがこれだけは外せない、
僕にとっては新酒「種蒔人」の完成こそ、
年を重ねた証しとなる “新年な一日” なのである。

「今年はどんな味になっただろうか・・」
逸る気持ちを抑えながら、
東海道線・函南から新幹線を乗り継いで
磐越西線・喜多方へと向かう。
朝、少し仕事をして向かったので、
大和川酒造店「北方風土館」に到着したのは夕方、
5時を過ぎていた。

すでに蔵での「種蒔人」の搾り見学を終え、
参加者たちは交流会の席に着いていて、
盛り上がり始めている。

今年もしっかり、この日に合わせての搾りができたようだ。
到着早々「(2回目の)乾杯の音頭をやれ!」
と囃されたが、いやいや今年の新酒を確かめてからと、
急いで挽回モードに入る。

リピーターの多さがこのイベントの特徴で、
懐かしい顔ぶれが皆んな笑顔でテーブルを囲み、
酒を酌み交わす光景が嬉しい。
食を分かち合いコミュニケーションを楽しむ、
これぞ人類が培ってきた共存(平和)のDNAだからね。
たかが酒だけど、されど酒だ。
ここに集った人たちは、酒から平和を語ることができると
僕は信じている。

そして今年の「種蒔人」。
印象は「まろやかになった」感じ。
酒には杜氏の性格が反映されるというが、
32歳という若き杜氏・佐藤哲野(てつや)さんが受け継いだ
地酒屋の魂は、穏やかさを纏って今も成長過程にある。
僕が知る3代の杜氏、
阿部伊立-佐藤和典(現社長)-佐藤哲野によって
育てられた「種蒔人」25回目の誕生に
ひたすら感謝しながら酔わせていただいた。

原料米生産者である「稲田稲作研究会」も
毎年参加してくれる。
生産者を束ねる会社・ジェイラップ代表の伊藤俊彦さん
が挨拶に立つ。

彼との二人三脚は1989年から始まった。
合鴨農法による無農薬栽培に取り組めば
こちらは合鴨オーナー制で応え、
1993年の大冷害の経験から「備蓄米」制度を立ち上げ、
そして3.11後の放射能対策・・・
いろんな試練があったけど、
僕らはいつも、どこか一緒に楽しんでいたような気がする。
二人の悪だくみから生まれた酒造りも、
大地を守る会の「顔」の一つとして生き続けてきた。

1994年、みんなの夢を醸していこうという願いから
「夢醸」(むじょう)と命名されて誕生したこの酒。
21世紀に入り「種蒔人」と改名され、
翌年から「種蒔人基金」を創設して、
1本につき100円を積み立ててきている。
『この酒が飲まれるたびに、森が守られ、水が守られ、田が守られ、人が育つ』
こんなスローガンを掲げる酒が他にあろうか。

今では「純米酒」は当たり前のようにスーパーに並んでいる。
無農薬栽培のコメでつくった酒や、
栽培者の顔をラベルに付した酒も、あるにはある。
しかし四半世紀にわたって、年に一度、
生産者と消費者が搾りの日に合わせて集い、
新酒完成を祝いながら未来を語り合い、
水系と田園を守り続けるという意思をもって
呑み継がれていく、そんな酒は、世界に一つしかない。

交流会のあとは、
恒例となった熱塩温泉「山形屋」に移動して
二次会となる。
もう誰と何を喋ったのか、正確に思い出せない。。。
それほどに、シアワセな時間だった。

翌朝、温泉に浸かり、
北方風土館に戻る。
今年はまた格別に雪が多いようだが、
しかしそれはしっかりと飯豊山系に貯えられ、
風土を育む源泉となる。

 

醸造蔵である「飯豊蔵」(いいでぐら)に回る。

絞られた後の酒粕取りをやらせてもらって、
解散となる。

佐藤哲野杜氏。

杜氏を継いで3年。
世代交代しても、全国新酒鑑評会での金賞受賞は7年連続と
更新し続けている。
今や県内を代表する若手杜氏の一人となった。
大和川酒造228年の伝統を背負いつつ、
その上に新しい挑戦を積み重ねていってほしい。
「種蒔人」次の四半世紀を、頼みます。

 

ところで、彌右衛門会長(会津電力社長)は今日はいずこへ?
奥様の陽子さんに聞いたところ
「京都だったか・・私も時々分かんなくて
Facebookで確かめたりしてます・・」
と笑って返してくれた。

『おだやかな革命』劇場満員の報告をしたかったが、
自然エネルギーの旗手は、
今日も猪のようにどこかを走っているようだ。
彼にとっての「復興」とは、
東京電力から福島を取り戻すこと(エネルギー自立)だから、
未来に負債を積み上げていくだけの再稼働政策に、
あるいは送電線を巡る卑劣な再生エネ潰しに、
今も腹の中はけっして「おだやか」ならずだろう。
でも映画の反響にはきっと喜んでいるはずだ。
顔は見えずとも、感謝の気持ちとともに、
とりあえず乾杯!を送ります。

俺たちの目の黒いうちに
「勝負あった!」まで持って行きましょう。
次世代のためにも。

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