ダム建設が生んだ悲劇と、木を植える農民たち。

公開日: : 最終更新日:2017/12/22 食・農業・環境

古くからのお付き合いである出版社「コモンズ」の代表、
大江正章さんからメールが届いた。

ある出版企画を実現させるために、
クラウドファンディングに挑戦したので、
支援してほしいという内容だった。

出版企画をクラウドファンディングで実現させる・・・
彼がそうまでして世に出したい本とは -
ダム建設計画によって起きた悲劇の記録 だった。

山形県東北部を流れる清流、最上小国(もがみおぐに)川。
最上川なら誰もが知る川だと思う。
  五月雨を あつめて早し 最上川
と松尾芭蕉が詠んだ川。

吾妻山(米沢市)を源とし、
くねくねと北上して舟形町に至り、
そこから西に向きを変えて日本海(酒田市)に下る、
全長229km、日本三大急流の一つだ。

その舟形町の東方約40km、
奥羽山脈は宮城県の境あたりから合流してくる川が、
小国川である。
他の小国川との混同を避けるために
「最上小国川」と命名されているが、
地元では「小国川」で通っている。
最上川の支流では唯一ダムのない天然河川で、
アユ釣りの聖地とも呼ばれてきた川だ。

その聖地・小国川の上流、赤倉温泉(最上町)の上に、
建設されつつあるダムがある。
建設計画がスタートしたのは1995年。
しかし聖地を守ろうとする強い反対運動で
着工は難航してきた。
反対の先頭に立ったのは自然保護団体ではない。
地元漁協、つまり川で飯を食ってきた “経済の人たち” である。
組合員1300人の総代会で反対表明が出されたのだ。
母が漁協に勤めていた漁村育ちの僕には、
この田舎でこの組合員数は驚きである。
それだけ豊かな河川なんだと思う。

ネットで調べたところでは、その後、
ダムに賛成しないと漁業権の更新も許可しないといった
圧力が、県から漁協にかかったらしい。
ありそうで実際にはそうはない恫喝だ。
その攻防の過程で組合長が自殺し、
一転して推進に舵が切られた。
いったい何がどうなって、こうなったのか。。。

亡くなられた組合長は、
他産地から持ってきた鮎を放流するのではなく、
この地で育った鮎の育苗を進めた功労者でもあったようだ。
「松原アユ」と呼ばれる、
地の天然ものが釣れる聖地を育てた人物が、
ダム計画の犠牲者となった。。。

本来、地域住民の暮らしを守るべき税金が、
どこか歪んだ豊かさの理屈で消えていってしまう。
結果として一人の命が奪われた。
そして、失うものの検証は不確かなまま、
ほとんど報道もされず、巨大工事は進んでいる。

やっぱり知っておくべきだろう。
ジャーナリスト・相川俊英氏の、
執念深いデカ並みの取材によって築かれた記録に、
同じく大江さんのしつこい編集力が重なって、
おそらくは深く考えさせられる一冊に仕上がることと
信じて、一票を投じた次第である。

 

最初の目標額である30万円はあっという間に到達し、
追加目標が設定されたようなので、
ここで改めて紹介させていただきました。

本はまだ完成してないので内容は分からないけど、
こういう記録を残していくことが、
次の時代を創っていくために必要な作業だと、
僕は思っています。

もしご賛同いただけるなら、
『清流に殉じた漁協組合長』出版プロジェクト
一票(ご支援)を。
あるいは完成後にお買い求めいただければ。
あるいは図書館に購入希望を。

 

合わせて、大地を守る会の仲間から送られてきた写真を、
ここに貼り付けておきたい。

毎年11月3日に行われてきた
「秋田・ブナを植える集い」。

大潟村のコメ農家たちが、
八郎潟に注ぐ馬場目川の上流部を
豊かな広葉樹の森に戻すべく、植林を続けて25年。
大地を守る会は3回目からお手伝いを続けてきた。
僕はここ数年行けてないけど、
後輩が欠かさず参加してくれている。
リピーターの会員さんもいる。
子供たちも頑張って植えてくれる一日。

この取り組みこそ、自然のダムづくりである。
しかも、河川の水はただのH2Oではない。
いのちの成分を運ぶ命脈なのだ。
その水源を、当たり前の値段でご飯を食べてくれさえすれば
守れることを、黙々と、ブナの苗木を植えながら祈る
農民たちがいる。
僕は、彼らのコメを売る仕事ができたことを、
とても誇りに思っている。

 

大江さんがトライしたクラウドファンディングもまた、
人をつなぐ試みだよね。
成功を祈ります。

ネットで調べる中で出会った歌がある。

  広き野を ながれゆけども 最上川
    うみに入るまで にごらざりけり

詠ったのは昭和天皇である。

次も、森・里・海をつなぐレポートをお届けしたい。

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