チョコレートの向こうとつながる講座

公開日: : 最終更新日:2017/12/26 あんしんはしんどい日記, 食・農業・環境

森・里・海のレポートの前にひとつ。

12月9日(土)、
東京は神田神保町のキッチン・スタジオを使って、
大地を守る会の「ホンモノの手作りチョコレート教室」が
開かれたので、スタッフに頼み込んで
参加させてもらった。

チョコレートの製造工程はざっくりとしか知らない。
いや、何を隠そう、チョコレートに限らず、
スィーツ全般において、そうだ。
そこは現場経験のない経営者のつらいところでもあって、
なので、こうやってこっそりと勉強もする。
基礎知識だけでなく、伝え方も含めて。
特にチョコレートの背景は、甘いものではない。
生産地の厳しい現実や、フェアトレードの取り組みも
頭に入れておかねばと思うのである。

参加者のほとんどが「親子で体験」組なので、
何はさておき、子供たちと一緒にチョコレート作りに入る。
講師はATJ(オルター・トレード・ジャパン)
の義村浩司さん。

まずは、
カカオ豆を焙煎するところから話を始める。

豆の原産地はインドネシア・パプア州。
ここで小規模生産者が、
農薬や化学肥料を使わず育てたカカオ。

ラグビーボールのような果実(カカオポッド)の中に、
白い果肉に包まれて40~50粒の種が入っている。
その種がカカオ豆。
それを果肉に包まれた状態(カカオパルプ)で
4~5日間、自然発酵させると、
チョコレートの香味成分が種の中につくられる。

その種を1週間かけて天日乾燥させると、
アーモンド色したカカオ豆になり、
焙煎し、殻を取り除いて、砕くと「カカオニブ」となる。

ここで焙煎したばかりのカカオニブをひと口。
風味や食感を確かめて、残ったのはチョコのトッピングに
使うことにする。

原料の製造工程はまだ続く。

カカオニブをすり潰してペーストにし、
冷やして固めると「カカオマス」になる。

さらに、カカオマスには油分が55%程度含まれているので、
ペーストを圧搾機で搾り、固形分と油脂分に分けると、
油脂分は「ココアバター」となり、
固形分を粉砕すると「ココアパウダー」となる。
(ホワイトチョコはココアバターをベースに作られるので、
  ほとんど脂ってことになる。)

そこで前から思っていた “ 恥ずかしくて聞けない疑問 ” を
優しそうな義村さんにぶつけてみた。

「カカオとココアの線引きは?」
「特に厳密な定義はありません。同じです。」

 

今回のチョコレート作りは、
カカオマスとココアバターを包丁で刻むところから。

刻んだカカオマスとココアバターをボールに入れ、
さらに大きなボールにお湯を入れて、湯煎して溶かす。
ここで水が入らないようにとの注意がある。
水が入るときれいに固まらなくなるらしい。

粉糖を入れ、ヘラでかき混ぜながら、
チョコレートの温度を45℃まで上げる。

45℃になったら、今度は外側のボールに水を入れ、
27℃まで下げる。

27℃になったら再びお湯を足し、29℃まで上げる。

29℃になったら型に流し込んで、
トッピングを加えて、冷蔵庫に。

実際には、27℃より下がったり、29℃より上がったりして、
「はい、水を足して!」「こっちはお湯~」・・・
と各テーブルは(スタッフも)一気に大忙しの状態に陥る。
この微妙な誤差が最後の出来映えに影響するのか・・
と思ったところで、ワタクシは諦めの境地になる。

 

冷蔵庫で固めること約1時間。
この間に、義村先生によるお話。
「チョコレートの向こうにある世界の現実」について。

ふだん何の疑問もなく食べているチョコ。
しかし大元のカカオ生産地では、
子供たちまで労働に駆り出され、学校に行けない、
といった現実があります。
売り渡しは仲買人に依存しているために価格は抑えられ、
かつ不安定な市場価格に翻弄され続けています。
さらには殺虫剤や除草剤の野放図な使用によって、
健康被害に遭うだけでなく、環境の劣化も進んでいく
(=暮らしの安定性が失われていく)、
そんな構造が出来上がってしまっているのです。

そういう状況を変えていくために、
生産者を搾取しない公正な取引を実現させ、
現地の経済的自立を支援しようとしているのが、
フェアトレードと言われる活動です。
現地では売上の一部を基金としてプールしたりしながら、
子供たちの教育環境の改善や森林環境の保全など
進めることができます。

今回の原料豆の生産地・パプアでは、
豆を売って終わりではなく、
自分たちでチョコレートまで完成させる
取り組みが進んでいます。
こういった現地の活動を応援しているのが、
このチョコレートです。
買う時・食べる時にどのチョコを選ぶかは、
投票することと同じです。
今日から考えていただければ嬉しいです。。。

 

今では「フェアトレード」という言葉もフツーに語られるけど、
ATJは1980年代、まだその言葉もなかった頃から
活動を始めた団体である。
「民衆貿易」と名乗って、フィリピン・ネグロス島を支援する
砂糖から始まり、バナナへと続いた。
「国産」にこだわった大地を守る会とは論争もやった。
もう30年以上のお付き合いになる。

日本の大手菓子企業も、CSR活動の一環として
現地の支援などに取り組み始めているが、
まだ一部の活動をPRしているのが現実のようである。
しかしそれでも、市民運動が社会を動かしてきた
ひとつの事例ではあるだろう。
この流れを支えてきたのは、紛れもなく消費(者の選択)である。

フェアトレードは「平和」を築いていく活動でもある、大げさではなくて。
危険度を増す国際情勢のなかで、この視点はもっと強調してもいいと
改めて思った講座だった。

 

完成したチョコレート。

子供たちがつくった、フェアで平和につながるチョコだ。
もっと大人たちに食べさせよう。

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