早藤さんの「有機みかんジュース」、今年も搾汁

公開日: : 最終更新日:2017/02/28 日々日々フルーツバスケット, 生産者・産地情報

今日は、神奈川県湯河原町の柑橘生産者、
早藤(はやとう)義則さんの「みかんジュース」製造の日。
今季3回目の製造で、今日が最後。

いつも早朝に自ら原料を運んできて、
夕方に再び来て、製品となったジュースだけでなく、
搾汁後の皮や絞りかすをすべて引き取っていかれる。

せっかくご本人が来てるのに、
一回も顔を見せないではダメでしょう、キミ!
と自分にムチ打って7時前に出社したら、
もう原料を降ろし終わっていて、
「おや、お早い出社ですね」と笑われ、
会話もそこそこに、「じゃ、よろしく!」と、
写真を撮る間もなく帰っていかれた。
撮れたのは、残されたミカンのみ。

 

早藤さんと大地を守る会は、
お父上の巌さんの代からのお付き合いである。
巌さんは、黒砂糖を発酵させた液に酢や焼酎などを加えて、
それを葉や果実に散布することで、柑橘の無農薬栽培を実現した方。
『黒砂糖・酢農法』という本も出している。

あとを継いだ義則さんは、さらに細やかなほ場管理を進化させ、
有機JAS認証も、制度が始まった早々に取得された。
日本では数少ない「有機柑橘農家」だ。

20代に2年間、米国で学んだ経験があり、
そのお礼だと、
帰国後はずっと海外からの研修生を受け入れている。
地域の活動にも熱心である。

大地を守る会では「達人」生産者の一人。
本人の素顔を撮れなかったので、「大地」から一枚拝借。

 

夕方、引き取りにやってきたところで、
再度挨拶する。

積み込みが始まれば会話の間も手を休めず、
カメラにも目線をくれない。
話し方は理論家で、その生真面目な印象からか、
ちょっと苦手という人もいるが、
僕はわりと好きなタイプの一人だ。
・・・って、「大地」の生産者に嫌いなタイプはいないけど。
苦手はともかく。

 

3.11の直後、彼の地にも例外なく放射能は降った。
しかし、
「これまで通り、土の力を信じてやっていく」と、
義則さんの姿勢は変わらなかった。
いくつかの資材を使っての試験を提案したのだが、
あの時、畑を見ながらきっぱりと言った言葉と目線は、
今も忘れてない。

「僕の畑に、余計なものは入れたくない。
 わずかな量でも検出されたモノは食べられない
 と言われれば、それはしょうがない。
 でも、だからと言って、ジタバタしたくない。
 長い時間かけて、やっていくだけだよ。違う?」

食の安全性を確保するために、
やれるだけのことはしなければならない。
しかしこういう胆力もまた必要かと、思ったものである。

 

ジュースももちろん、有機JASマーク付き。
有機認定工場である我が社としては、
やりがいのある、大事なクライアントである。

ただし、この製品は余所には出回らない。
すべて地元・湯河原の三ツ星レストランやホテルなどで
完売となってしまう。
残念と言えば残念だが、それがベストな形だろう。

それよりも個人的な野望として、
実はここで出る「有機ミカンの皮」を、僕は狙っていたのだが、
それにも早藤さんの答えは、簡潔である。

「他からも欲しいと言われることがあるけど、ない。
 だって堆肥に回したら、ないさ。そうでしょう」

皮も絞りかすも、ミカン園に返す貴重な資源である。
少々のお金に換えるより大事なモノってことだ。
カッコいいね、くそッ。

今は樹の更新(植え替え)時期に入っているようで、
数年は生産量が減るとのことだった。

長い時間のその先を見つめて、新しい樹を植える達人が
目の前にいる。
ならばこちらも、その営みにずっと伴走できる、
哲学を持った加工屋でありたいものだ。

こんな人が、さらッと原料を運んでくる。
こんな関係、そうない。
だったら、ただ自慢しているだけじゃなくて、
製造スタッフを畑まで連れて行ってやらなきゃあ、
でしょう、キミ!

今日の気づき・・・でした。

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