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十勝で踏ん張る、平譯優さん

2016/12/25
  • あんしんはしんどい日記
  • 生産者・産地情報
十勝で踏ん張る、平譯優さん

12月19日(月)、
北海道は帯広を訪ねた。

目的はスィートコーン缶詰対策。
秋の波状的台風上陸による河川氾濫と土砂流入によって、
委託していた工場(日本缶詰KK.さん)が製造不能となり、
一年分のホール・コーン缶詰が無に帰した。

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コンピュータ管理の最新設備は洗浄や修理とかですむものでなく、
設備の全面更新には膨大な資金が必要となり、
日本缶詰さんはついに、缶詰製造からの撤退という結論を下された。
十勝で契約していたコーンの中でも特別栽培のものを
我が社用に確保してもらっていて、とても人気のあった一品だけに
こちらの経営的打撃も大きく、実に無念な話となってしまった。

とはいえ、うなだれている場合ではない。
やむを得ず別な工場にお願いに上がり、
何とか来年産のコーン缶詰製造の目途を立てることができた。

年1回の収穫、しかも北海道しかない原料。
いま動かないと、来年もない。
加えて、来年は大丈夫、という保証もない。
ハイリスクな話だけれども、生産者がいる限り、
国産にはこだわり続けたい、と思う。

 

さて、首尾を終えた翌20日(火)。
ここまで来て、この人に会わずに帰るわけにはいかない。

帯広の隣、幕別町で
長く無農薬栽培で野菜や豆類をつくってくれている
平譯(ひらわけ)優さん。

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大地を守る会にはジャガイモ他の野菜だけでなく、
「手づくり味噌」用の大豆の生産者として愛されている。
フルーツバスケットでは金時豆など餡用の豆に加えて、
シューストリング・タイプの「フライドポテト」用の原料を
長く作付してもらっていたのだが、これもまた
工場の製造ライン閉鎖によって、今年から作れなくなってしまった。
そのお詫びもしたくて、飛行機の便を遅らせてお邪魔した。
頭を下げたところでどうにもならないけれど、
いつかリベンジする決意だけは伝えねば、と思ったのだ。

それにしても、加工の受け皿が消えることは、
大阪城の外堀が埋められるのと同じダメージがある。
“ 攻めの農業 ” だけで日本農業が守れるワケではないのだ。。。

 

平譯さんの案内で、畑を回る。

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十勝川の氾濫で、平譯さんのジャガイモ畑も全滅した所がある。
それでも、客土してあったことで冠水せずに済んだ畑があるなど、
長年の土づくりの力も見ることができた。

被害に負けじと、小麦が芽を出している。
これはパン用小麦だ。
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土手の内側、河川敷では土が掘られていた。

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今後の対策として、土手を高くするのでなく、
川を深くして、その土を他の地域の盛土に回すという政策のようだ。
おかげでひっきりなしにダンプが走っている。

掘っているのは平譯さんが牧草を育てていたところで、
この工事が終わったら、来年も牧草を蒔くという。
大地に根を生やして、自然災害に遭い、人災にも翻弄されながら、
それでも土を守りながら生きている。
こういう生産者を見る度に、この国の政治はあまりに軽すぎる、
そんな気がしてならなくなる。

平譯さんの倉庫。

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多種類の豆をつくる平譯さんは、冬も忙しい。
大粒大豆が終われば納豆用小粒、黒豆、何とか豆・・・
と選別-出荷が続く。

案内してもらっている間にも、あちこちから電話が入り、
「いや今年は少ないんだわ・・・う~ん、それくらいならね・・」
申し訳なさそうに今年の事情を説明している。
歩いたり、豆をなでたりしながら。

選別の終わった大豆。

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今年は良品の歩留まりが悪かった。
それでも平譯さんは手を抜かない。
だからファンが多い。

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もっとゆっくりしていけよ-
という声に頭を下げ、空港に向かう。
年内のうちに仕上げなきゃいけない仕事が、
まだいろいろ残っているのを知っているからね。
17~8年前、僕が穀類を担当していた時の暮れ、
金時豆だったか、年内中に何とか届けて・・とせがんだ経験が、
僕にもある。忘れてないよ。

被害の額はただごとではなかったと思う。
それでも弱音を吐かないから、こちらも油断してしまったりする。
平譯優とは、そんな人だ。

 

今度は、東京集会で。
ああ、行けたらね。

体、大事にね。
ああ、まあ頑張るわ(無理するって意味か・・)。

空港で、しまった!と唇をかんだ。
倉庫にいた息子さんとのツーショットを撮るのを忘れた。
自慢したかったんじゃないかな。
ゴメン、今度は息子メインで。

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