『よみがえりのレシピ』から『おだやかな革命』へ

公開日: : 最終更新日:2016/08/16 大地を守る会, 生産者・産地情報, 食・農業・環境

8月4日(木)から5日(金)、
山形県高畠町「おきたま興農舎」を主催地に、
大地を守る会の第13回全国農業後継者会議が開催された。
この会議に参加するのは3年ぶりだ。

会議の会場となったのは赤湯温泉「御殿守」。
米沢藩主・上杉家の御湯として370年の歴史を持つ名湯中の名湯。
おきたま興農舎代表・小林亮さんの仲介がないと
一生泊まることもないだろう由緒ある宿である。
ここに全国から30名強の青年農業者が集まった。

例によって藤田社長の挨拶から始まる。
「君たちの実践する農業が、次の日本の農業の姿である。
  若い人たちのネットワークで、新たな時代を創っていってほしい」

続いて主催地を代表して「おきたま興農舎」の小林温(ゆたか)さん。

20160804後継者会議➀

彼らにとっての悩みは農業技術だけではない。
むしろ異常気象への対応や、どう地域を守っていくか、
あるいは将来に向けたエネルギー問題など
多岐にわたっているのだ。

そんな小林さんたちが今回受け入れにあたって
あえて用意したのが、映画監督・渡辺智史さんの講演だった。
6年前に庄内地方の在来作物をテーマにしたドキュメンタリー映画
『よみがえりのレシピ』を製作し、
現在は自然エネルギーをテーマにした映画を製作中である。

20160804後継者会議②

渡辺智史さんの講演テーマは、
「幸せなコミュニティのレシピ~種もエネルギーも循環する社会へ」。

20160804後継者会議③

渡辺さんは、ドキュメンタリー作家を目指した頃、
あまりに暗い映画ばかりが多い中、
「太陽のような(希望のある)映画が見たい」と思った。
そこで見つけた素材がスローフードと
自家採種しながら育まれてきた在来作物だった。

山形県には170種を超える在来作物がある。
栽培しては種を取り、食べながら残してきた野菜たち。
味も香りも調理方法も、百年単位で伝承されてきた
「生きた文化財」だと渡辺さんは語る。
在来作物を知ることは、食と農業の豊かな関係を知ることである。
そして今、同じような在来作物(=地域資源)の発掘が、
全国各地に広がりつつある。
これを食と農業を救う処方箋(レシピ)として、
世界中に伝えていきたい。

続いて25分の映画
『在来作物で味覚のレッスン』が上映された。
食育基本法が制定されて11年。
しかし日本ではマナー教育や調理法、カロリー計算などが優先され、
食材を選択する力や味覚教育という視点が弱い。
かたや食の王国フランスでは、毎年10月、
一流シェフたちが小学校に出向き味覚を教える
「味覚の一週間」が催される。
そこで渡辺さんたちが食のエキスパートとともに
始めたのが「味覚のレッスン」企画である。

20160804後継者会議④

人間の味覚はだいたい10歳頃までに獲得される。
しかし今、子どもたちの30%が5味
(酸味・苦み・甘み・塩味・うま味)のどれかを認識できない
というデータがある。
子どもたちの味覚が危ない!
ホンモノの味を小学校4年までに伝えなければならない。
それはお金のかからない健康維持政策でもある。
タネを守るように味を守りたい。

渡邉監督の話を聞きながら思い出す。
フランスの「味覚の一週間」が日本に上陸したのは
6年前のことだ。
しかし、このムーブメントはあまり広がっていない。
僕も注目した一人であったが、翌年から放射能対策に追われ、
頭の片隅に置き忘れてしまっていた。
どうだろう、大地を守る会で
子どもたちの味覚を守る長期プロジェクトをやるというのは。

講演の最後に、渡辺さんは
いま製作中の『おだやかな革命』を紹介する。
渡辺さんの企画意図を紹介しておきたい。

「地方消滅」と言われている今、
限界集落と呼ばれるような中山間地域に
若者が移住する動きが生まれている。
ほしい未来は自分たちの手で作りたいという
志をもつ移住者を起点にして地域が一体となり、
木質バイオマスの利活用や、小水力発電の事業が立ち上がり、
幸せなコミュニティが生まれつつある。
持続可能性という舞台で新しい「経済倫理」が成熟していく。
成長・拡大を求め続けてきた日本が、
人口減少社会を希望ある転換期にできるかどうか、
真に豊かで幸せを感じられる社会へ移行していくためのヒントが、
この映画には詰まっている。

『おだやかな革命』は2017年夏、公開予定。
“ よみがえり ” から “ 革命 ” へ。
これは、乞うご期待!である。

 

翌日は熱い中、ほ場見学。
ごめん。今日はここまで。

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