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トキと棚田は訴えている。

2015/09/03
  • 生産者・産地情報
  • 米プロジェクト21
トキと棚田は訴えている。

さてさて、佐渡ツアーのレポートが終わってない。
8月23日(日)、ツアー二日目の報告を。

宿は佐渡市新穂の「民宿おはな」にとった。
前夜は深酒を避け、朝食前の6時に起きて
生椿(はえつばき)の棚田を見学する。

山道を登る途中からデジャヴの感覚を覚えたが、
到着して分かった。
13年前に来た棚田だ。
長安寺というお寺で車座シンポジウムをやって、
翌日案内された。

201508佐渡2日目②

ここの主は高野毅さん(写真中央)。
生椿の自然を守る会会長。
この生椿という美しい名の集落にはもう人は住んでないのだが、
親子2代にわたってトキの餌場を守るために棚田を守ってきた。

佐渡トキ保護センターができた1967年、
トキの生態に詳しかった父・高治さんは飼育係に任命される。
生椿からドジョウを背中にしょって毎日運んだと聞く。

201508佐渡2日目③

高治さんの遺志を継いだ毅さんは、
一人で山道を整備し、
耕作放棄地となった田を復元し、あるいはビオトープにするなど、
粘り強く里山を手入れしてきた。
米は一貫して無農薬栽培である。
トキへの愛情は僕らの想像する域を超えているに違いない。
当然のことながら、「有機JAS」といった規格基準で量れるものでもない。

201508佐渡2日目④

201508佐渡2日目⑤

201508佐渡2日目⑥

“ 懐かしい ” と言ってはいけないだろうか。
この美しさは、お金に換算できない。
なぜならこの風景は、生き物たちの絶妙なつながりによって
構成されているからだ。

201508佐渡2日目⑮

 

生椿の棚田から戻り、民宿で朝食をいただいて、
ふたたび出発。
大佐渡スカイラインを走って、佐渡金山へ。
金山は2年前に入ったのでパスさせてもらい、ここで寝不足解消。

齊藤さんたちの自然栽培米で酒を仕込んでいる
加藤酒造さん(主銘柄は「金鶴」)に立ち寄り、試飲を楽しむ。

201508佐渡2日目⑧

有機栽培の「たかね錦」を使用した『拓』(ひらく)が気に入った。
包装紙には齊藤さんたちの米作りが紹介されている。
また自然栽培の「越淡麗」を使った酒は、この秋、
『上限の月』という銘柄で新発売される予定である。
西田職員が早速交渉に入っていた。

「まるいし」という回転寿司屋で昼食。
地元のネタを使っているとあって、どれも美味い。
特にサンマとノドグロが絶品だった。

さらに、佐渡乳業、佐渡海洋深層水のスタンドを回り、
最後の視察先、「岩首(いわくび)昇竜棚田」へと向かう。

 

廃校となった岩首小学校に置かれた「岩首談義所」。
ここを拠点として、「限界集落の歯止めに挑む」(パンフレットから)。

201508佐渡2日目⑯

佐渡の “ 棚田おじさん ” は健在だった。
佐渡棚田協議会会長・大石惣一郎さん。

201508佐渡2日目⑨

201508佐渡2日目⑩

缶ビール片手に、岩首棚田の特徴から始まり、
自身の棚田への思いを語り続ける。

棚田に上がる途中にある「養老の滝」。
水の豊富さと水質の素晴らしさも、
大石おじさんの自慢である。

201508佐渡2日目⑪

海沿いの集落から一気に標高350mまで駆け上がる
傾斜に広がる棚田は約460枚。
それでも年々耕作者と耕作面積は減り続けている。

201508佐渡2日目⑫

都会からの学生ボランティアたちの手も借りながら
維持管理に努めているが、けっこうな苦労があることだろう。
棚田を守るとは、
その地域の文化や暮らしを守っていくことでもある。
お祭りや慣習、年間行事に若者を溶け込ませながら、
佐渡の棚田はたたかっている。

201508佐渡2日目⑬

棚田の眼下には佐渡海峡。
その向こうは新潟市。

201508佐渡2日目⑭

棚田だらけの佐渡島で、“ トキと共生する ” とは
現代の経済合理主義的価値観への挑戦のようにも思える。
はっきりしていることは、
高野さんや斉藤さんたちが米作りを営んでゆける
(持続可能な、当たり前の)値段で
私たちが「食べる」ことが、
この自然とトキを守る重要な肝になっている、
ということだ。

私たちにとって、美しい棚田を維持するとは、
あるいは「トキとの共生」とは、
何を食べるのか、どのような農の営みに投票するのか、
を問うものである。

トキと棚田は訴えている。
目の前にある風景への敬意を忘れないようにしたい。

佐渡レポート、終わります。

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