ヒグラシの季節にオリーブを植える。
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最終更新日:2015/07/20
あんしんはしんどい日記, 日々日々フルーツバスケット
一週間ほど前から、夕方になるとヒグラシが鳴くようになった。
森にこだまするその合唱は、一人暮らしに哀愁を運んできて、
けっこうこたえる。
あるいは竹やイタドリの藪と化した裏庭を眺めながら聴くと、
むかし憧れたソローの『森の生活』にはまったような
錯覚に陥ったりもする。
ソローのように本当の自由を思索してはいないくせに。
賢人のように、庭の草のように貧しさを耕せ。
ー 真崎義博訳(宝島社版より)
借りている駐車場にはモミジイチゴが進出してきて、
フロントガラスまで覆いつつある。
赤い実が成って、ポタポタと落ちては、
ボンネットに血のような染みをつけてくれる。
落とす場所を間違えてるよ、まったく。
食べてみると、ほんのりした甘さと酸味があるが、
たくさん採って持ち帰ろうとは思わない。
猛暑が続いたかと思えば台風がやって来て、
農産物が心配になる。
農家はたまらんだろうなあ、と想像しても、
力になれないもどかしさが残るだけだ。
16~17日はそんな台風の中、
大地を守る会の2年分の新人6名を迎え、
丹那研修を実施した。
丹那牛乳(「大地を守る会の低温殺菌牛乳」)の
工場見学からスタートし、酪農王国オラッチェ、
ビール工房(「風の谷のビール」)、
そしてフルーツバスケット(FB)研修。
FBでは、ケーキ工房「ムーラン・ナ・ヴァン」での実習、
製造1課はブルーベリージャムの製造実習、
食べ比べも盛り込んだ座学、そして最後に
FBの歴史や役割・営業概況等のレクチャーという
プログラムで進めた。
彼らが一番驚いたのは、ブルーベリーを
手で潰していくという行程だったようだ。
機械ではなく手で潰す。それによって品質を確かめ、
異物混入を防ぎ、実の感触が残るジャムに仕上げられる。
学んだことを多くの人に伝えてほしい。
16日の夜は雨の中、街に下りて一杯やって親睦を深めた。
新人諸君が帰った17日の夜は、歓送迎会。
5年勤めてくれた品質管理室の引地奈美さんが
今月いっぱいで辞め、故郷・宮城に帰られることになった。
8月からは石巻で、被災地の子どもたち向けの
環境教育プログラムや復興支援の職に就かれる
ことになっている。
辞められるのはとても残念だが、
故郷のために働こうという思いを阻むワケにはいかない。
元気よく送り出したいと思う。
そんな間にも国会では、安全保障関連法案が
衆議院を通過した。
傲慢かつ詭弁に満ちた憲法解釈を押し通し、
新たな国際平和支援法案と自衛隊法など10の法律改正案を
まとめて一気に通過させるという、圧制以外の何物でもない。
これからの歴史にどうコミットし、
大人としての責任をどう取っていくか、
真剣に生きなきゃいけないと思う。
忘れないぞ、という思いを込めて、
前庭の草をとって、オリーブの木を植えた。
この平和の木に毎朝声をかけ、出かけることにしよう。
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